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森永卓郎氏が日銀の金融引き締めを懸念、再度のデフレも?

6/9(金) 17:00配信

マネーポストWEB

 脱デフレ、2%の物価目標を目指して日銀は金融緩和を続けているが、いまその金融政策に異変が起きているのだという。いったい何が起こっているのか。経済アナリスト・森永卓郎氏が解説する。

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 いまの日本経済の動きを見ると、驚くべき事実が浮かび上がります。

 現在、日銀は金融緩和のために年間80兆円の国債を買い入れることを目標(目途)にしています。トランプ大統領誕生が決定した昨年11月まで、日銀の国債保有残高は10か月(昨年1~10月)の平均で月間7兆2314億円増、年率に直すと87兆円増でした。

 つまり、日銀は目標を上回るペースで国債を買っていたのです。

 ところが、昨年11月から今年2月までの3か月間の平均は3兆4929億円増で、年率換算だと42兆円増と、金融緩和のペースが半減。

 さらに、2月末から3月末までの1か月間で見ると、日銀の国債保有残高は何と3兆1576億円減少したのです。これはつまり、日銀がついに金融引き締めに舵を切ったとも捉えることができるのです。

 金融緩和は、アベノミクスの根幹です。しかも、日本経済はデフレ脱却を果たしたわけではありません。それなのに、この時期の金融引き締めは、まさに自殺行為に近いといえます。

 実際、この金融引き締めに伴って、トランプ相場で昨年12月半ばには1ドル=120円近くまで円安に進んでいたのが、4月半ばには108円台まで円高が進むなど、円高基調が衰えを見せません。

 円高がデフレをもたらすことはいうまでもありません。2月の消費者物価指数は、前年同月比プラス0.1%と、かろうじてプラスを維持しましたが、それも風前の灯です。値下げ競争に火が点き始めたからです。

 コンビニ最大手のセブンイレブンは4月19日から、洗剤や歯磨き粉など日用品61品目を平均で5%値下げ。スーパー大手のイオンも、プライベートブランド商品に続き、ナショナルブランド商品239品目を平均10%程度となる値下げに踏み切っています。

 イオンの岡田元也社長は値下げ発表会見で、「脱デフレは大いなるイリュージョン(幻想)だった」と断言しました。岡田社長は、感覚でそう発言したわけではありません。一部商品を限定的に値下げし、需要が大きく伸びた事実を確認したうえで発言しているのです。

 消費者は確実に安いものを欲しがっています。アベノミクスによって経済全体は潤ったとはいえ、実質賃金は第2次安倍内閣発足当初より3.5%も減っているのだから当然です。

※マネーポスト2017年夏号

最終更新:6/9(金) 17:00
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