ここから本文です

シャワーヘッドが1台4役 水圧の難題をどう解決?

6/9(金) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 シャワーはカラダを洗い流すだけの道具――。そんな常識を根本から覆すのが、2017年6月中旬に発売するシャワーヘッド「ビブラテルム マルチプルシャワー」だ。家庭の浴室で使っている一般的なシャワーヘッドをビブラテルムに付け替えるだけで、通常のシャワーに加え、振動マッサージや回転ボディーブラシ、回転角質リムーバーと、1台4役の多機能シャワーヘッドに“変身”する。しかも、電気は一切不要で、水の力で動くというから驚きだ。この多機能シャワーヘッドは、どのようにして生まれたのか。開発元である長野県茅野市の中小企業、CSI社長の宮澤勝氏に聞いた。


――「ビブラテルム」は、通常のシャワー以外はどんな用途に使えますか?

宮澤勝氏(以下、宮澤): 片側は大きな散水盤を装備した通常のシャワーになっていますが、反対側はアタッチメントを付け替えることによって、それぞれ自動で動く振動マッサージ器、回転ボディーブラシ、回転角質リムーバーと、1台4役のマルチな機能を発揮します。家庭の浴室にある既存のシャワーヘッドを外し、簡単に取り付けることができ、接続部の取り付けネジ「G1/2」は世界共通規格のため、ほとんどのメーカーのシャワーホース部と接続可能です[注]。従来のシャワーヘッドは単にカラダを湯水で流すだけの道具でしたが、ビブラテルムに替えることで、回転するボディーブラシでカラダを洗ったり、リムーバーで角質を除去したりでき、さらに、浴槽にゆったりと浸かりながら振動マッサージ器で肩や背中をほぐせるようになります。

[注]ただ給湯器から供給される水のシャワーヘッドへの流入圧力が0.3Mpa以下の場合、ビブラテルムは機能しない。エコ給湯を利用する家庭は説明書で圧力を確認する必要がある


―― 画期的なのは、シャワーの流水の力だけを利用して、ブラシやリムーバーを回転させたり、マッサージ器を振動させている点です。どのような仕組みで動いていますか?

宮澤: ヘッド部に内蔵しているスクリューを、小さな穴から勢いよく噴射させる水の力を使って毎分3500回転で回し、その駆動力を利用して動かしています。マッサージ器は重りの付いた回転軸が高速で回ることによって振動させる仕組み。一方で、ブラシやリムーバーには複数のギアを組み込み、回転を300回転程度に落とす代わりにトルクを上げて、肌に押し付けても止まらずに動くように工夫しています。駆動に使われた流水は、散水盤の外側の排水口から勢いを抑えて流れ出る仕組みで、流水量はシャワー使用時に比べて60%程度に節水していることも特徴です。

―― 散水盤から水を出すシャワー使用時は反対側のアタッチメント部は駆動せず、逆にアタッチメント側に水が流れて駆動している時は、散水盤から水は出ません。水の流れをどのように切り替えているのですか?

宮澤: これもある日私がひらめいた工夫の一つなのですが、ヘッド部は脱着して前後をひっくり返して付け替えることができ、前面にした方だけに水が流れる機構になっています。なぜそのとき、反対側に水が流れないのかと言えば、ヘッド内に散水盤につながるノズルと、アタッチメント部につながるノズルの2系統を組み込み、そのノズルを差し込む接続部の2つの穴は、片方だけ通水し、もう一方はふさがっている構造だからです。この構造によって前面にしたほうにだけ水を流す水路の切り替えが可能になります。つまり、散水盤を前面にすれば、通水側と散水盤側のノズルがつながってシャワーに、アタッチメント部を前面にすると、通水側とアタッチメント側のノズルがつながってマッサージ器やブラシが駆動するというわけです。

―― ヘッド部を取り外して付け替えることで、水路を切り替える点がとてもユニークです。

宮澤: 利便性に着目すれば、ボタンやスイッチで水路を切り替える方法も考えられます。私も開発に着手した当初はボタン式を考案し、複数のモデルを試作してみました。しかし、シャワーの水圧が高いために、ボタン部と本体の僅かな隙間から水が漏れてしまったり、隙間をゴムパッキンなどで埋めると今度はボタンが固すぎて押せなかったりするなど問題が発生し、何度やってもうまくいかなかった。ボタン式は机上論であり、実用化は不可能だと思いました。そこで、ヘッド部を脱着する今の方式を思い付き、シャワーヘッドの水路の切り替えという、誰も成功したことがない難題をクリアしたのです。

1/2ページ

最終更新:6/9(金) 7:47
NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。