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【日本ハム】吉川光夫に抱いた複雑な感情と、鳥谷敬に送った拍手と

6/9(金) 11:00配信

文春オンライン

巨人・吉川光夫への複雑な感情

 5月24日、ファイターズは試合がなかった。僕は翌日の西武戦ナイター(県営大宮)へ向けて何とか身体を空けるべく、終日、仕事部屋にこもっていた。原稿が一段落してスマホに目をやると、複数の野球仲間から「吉川危険球退場……」「鳥谷心配です」といったLINEメッセージが届いていた。すぐにネットのニュース速報を確認する。甲子園で行われている阪神vs巨人9回戦だ。5回裏、1死三塁の場面で巨人先発・吉川光夫の投じた直球が阪神、鳥谷敬の頭部を直撃したらしい。

 うわ、まずいなぁと思ったが、とりあえず原稿を仕上げることにした。23時からの『プロ野球ニュース』(フジテレビONE)を見る。それは想像していた何倍も衝撃的なシーンだった。顔に行っている。鳥谷はその場に倒れ、しばらく動かなかった。吉川は口を一文字に結び、顔色を失っている。全身をこわばらせて棒立ちだ。そのどうしていいのかわからない感じが事態の深刻さを物語っていた。球審とトレーナーが声をかけ、阪神・金本知憲監督が駆け寄る。しばらくして鳥谷は身体を起こした。流血のためタオルで顔を覆いベンチに下がる。

 その青くなっている吉川光夫だ。巨人のユニホームを着ている。昨オフ行われた「吉川光夫、石川慎吾⇔大田泰示、公文克彦」の大型トレードはもちろんわかっていたし、キャンプの頃は「吉川、意外と巨人ユニ似合う」なんて軽口を叩いていたくせに、その姿を見て取り返しのつかないことになったと感じた。

 そのときの感情は説明しづらいのだ。吉川何やってるんだ、そんなとこで何やってるんだと強く思った。自分でも驚いたが、吉川のトレードに気持ちが追いついてなかったのだ。うろたえながら考えたのは鳥谷なり阪神なりに僕も詫びたいんだけど、そんなユニホーム着てたら僕が詫びれないじゃないかよということだ。いや、意味不明なのは自分でもわかっている。ただこれは感情なのだ。吉川がぶつけたんなら僕にも責任があると思ってしまう。

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最終更新:6/9(金) 11:00
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