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遠藤航が語った「自信」の中身。レッズが見せた「新・浦和のサッカー」の予感。

6/9(金) 7:30配信

BEST TIMES

「浦和のサッカー」の強さと脆さ

 AFCチャンピオンズリーグ、セカンドレグで見せた浦和の大逆転は、もしかするとこのチームにとっての大きなターニングポイントになるかもしれない――そんな予感をさせた。

 あと一歩のところでタイトルを逃す。浦和レッズに定着したイメージだ。
 昨シーズンこそルヴァン杯を制し、ペドロヴィッチ体制初の栄冠を手にしたが、年間勝ち点1位でありながらそしてチャンピオンシップのファーストレグを勝利で収めながら、セカンドレグで逆転を喫し王者になれなかったあたりは、ここ数年の「あと一歩の浦和」を象徴していた。

「一歩」は、これほど遠いものか。

 そう思わせるのは、相手を圧倒する攻撃的なサッカーと、大一番における「その」脆さからだった。シーズンのほとんどでは「浦和のサッカー」は脅威だった。主導権を握り、ボールを支配し、ゴールに迫る。1点を取れば、2点目を目指し、1失点すれば2点を返す。つねに攻撃の手を緩めないサッカーは魅力的だ。ただ、「あと一歩」という残酷な結果が示す事実は、タイトルを決める大事な試合で勝利を掴みきれない、それも「浦和のサッカー」だったということだ。

  いつものように(と言っては失礼だが)「雪辱」を期して臨んだ今シーズン、リーグ戦では上位をキープし、ACLではグループリーグを突破した。波はあれど、好調を維持しているといえるだろう。

 ただ、選手にとっても、サポーターにとっても「浦和のサッカー」の真価を証明するために、この時期に必要なのは結果だけではない。

「一歩」を進むために必要なピースを手にできるかどうか。

 それこそがこの時期にもっとも期待されるものだった。

遠藤が語ったACLでの手ごたえ

 果たして、そのピースを手に入れる予感をさせたのがACL、ラウンド16セカンドレグの済州戦だった。象徴する言葉は、昨シーズンから浦和レッズに加入し主に3バックの真ん中のポジションで攻守に貢献をしてきた遠藤航の連載「世界への大航海」(BEST T! MES)にある。済州戦を終え、遠藤はこう振り返る。

 『違ったのは「勝てる」という自信の中身でした。「レッズのサッカーをとことん追求し、精度を上げていけば結果はついてくる」といった、(言い方は悪いかもしれませんが)これまでのような、ただ「自分たちを信じる」ことから生まれるものではなく、「相手を見据えたうえで、どういうふうにすればレッズのサッカーの良さを出していけるか」をしっかりと分析し、体現できると考えたうえで生まれたものだったのです。』(「遠藤航・世界への大航海-レッズのサッカーと柔軟性」より)

 済州戦、前半で2点を奪いホーム&アウェイで2対2のタイに持ち込んだ浦和は、前半40分過ぎから、自陣に引いてブロックを敷く守備を選択した。後半に済州の選手がひとり退場になったあとも、一気に攻撃の手を強めるのではなく「失点をしない」というリスクコントロールをしながら、試合を組み立てた。ボールを失った後の前線の選手の切り替えの速さは、ここ数シーズンのなかでベストと言えるものだったかもしれない。

 再び遠藤の言葉を引用する。

『僕にとって重要なことは、実際にどう対応したか、という部分ではなく、勝利のために「対相手」を意識し、修正できたことです。そこにあるのは、ひと言でいえば柔軟性だろうと思います。サッカーには常に相手がいる。だから、レッズの素晴らしいサッカーを体現していく中でも、対相手を意識し、微妙な変化を加えることは不可欠です。自分たちのサッカーをベースにした、その上に相手に応じたサッカーを選択していく。その「柔軟性」を持ち、なおかつ結果を出すことができたのが今回の済州戦だったわけです。』(「遠藤航・世界への大航海-レッズのサッカーと柔軟性」より)

 修正力を伴った「浦和のサッカー」が、「あと一歩」を進めるピースになりそうな予感がしている。

文:ベストタイムズ編集部

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