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大手電力、法人営業で「不当廉売」まがいの大幅値引き

6/9(金) 19:04配信

オルタナ

2016年4月の電力小売り自由化を機に、新電力(PPS)各社が一般家庭向け電力だけでなく法人顧客にも攻勢をかけるなか、東電や関電など大手電力が大幅値下げで対抗する事例が増えてきた。中にはPPSの仕入れ価格を下回る値下げ提案もあり、PPSからは「不当廉売ではないか」との悲鳴が上がっている。(オルタナ編集部)

昨春の電力自由化は一般家庭が対象だったが、2012年の再生可能エネルギー全量買い取り制度(FIT)導入などを機に新規参入するPPSが増え、一般家庭だけでなく法人顧客の争奪戦が各地で激化している。

そんな中、大手電力会社が「大幅値引き」価格を提示し、法人顧客を引き留めようとする事例が増えた。

例えば、ある大手コンビニの200店舗への電力供給事案では当初、PPS各社が大手電力会社の従来契約から3%安い値段を提示したところ、大手電力は自社の従来価格から6%も安い価格を提示してきたという。

PPS各社は、卸売り市場や発電事業者から電力を調達し、大手電力会社に託送料金を支払ったうえで、一般家庭や法人顧客に電力を販売している。託送料金込みの仕入れ価格は1KW当たり16円前後だ。これに粗利を乗せて従量単価を同18円前後で小売りしないとビジネスとして成り立たない。

別の法人案件では、PPSとの契約が決まりそうになったところで、その3日後に、大手電力会社が3%安い見積もりを出してきて、契約を奪われたとの報告もある。

埼玉県にある市役所庁舎の入札案件でも、PPS各社が従量単価18円前後で入札したところ、東京電力はそこから15%も低い価格を提示し落札、契約を継続した。

いずれのケースも、大手電力が出してきた価格は、電源を市場調達に頼る新電力にとっては原価割れのレベルだ。あるPPSの経営幹部は「大手電力は大多数の従量単価が高い契約を残し、特定のユーザーだけに格安の料金を提示している。これでは結局、国民が自由化の恩恵を得られない」と憤る。

そもそも電力の売買契約には、個別の相対取引と入札がある。前者の場合、競合他社の仕入れ価格より安い価格で販売した場合には、独占禁止法が処罰の対象とする「不当廉売」に当たる可能性がある。後者の場合でも「略奪的安値応札」として、監視の対象になることがある。

公正取引委員会競争政策研究センターがまとめた報告書「低価格入札に関する研究」によると、「市場からのライバルの撤退・参入阻止を目的とした『略奪的安値応札』は、社会厚生を悪化させる戦略的行為である可能性がある」として事例が検証されている。

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最終更新:6/9(金) 20:42
オルタナ

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