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【学芸員】「観光立国」への機運高まる中、貴重な文化遺産を後世に伝え、その魅力を広く発信

6/9(金) 7:30配信

日本の人事部

日本の伝統文化が海外から“Cool!”と注目される一方で、文化財が各地で存亡の危機にあることをご存じだろうか。活用なくして保存なし――国は他の先進国に比べて遅れている「文化財の観光活用」を推進する方針だが、ある大臣が、それを妨げる存在として「一番のがんは学芸員」と発言。「学芸員の仕事に理解がない」と世論の猛反発を浴びた。これをきっかけに、学芸員の意義や役割が改めて注目されるようになったが、その仕事の実態はどのようなものなのだろうか。

博物館法に定められた国家資格をもつ専門職員、職務は多岐にわたる

今年4月、山本幸三地方創生担当大臣が、地方の講演先で文化財を観光振興に活用することについて問われた際に、見学者への案内方法やイベント施策が十分ではなく、「一番のがんは学芸員。普通の観光マインドが全くない。この連中を一掃しないと」と発言した。たちまち批判が殺到し、大臣は発言撤回と謝罪に追い込まれたが、この“炎上”騒動が皮肉にも、「学芸員」という裏方的な職種に世間の耳目を集め、その仕事の意義や役割が改めてクローズアップされるきっかけとなったのは、ケガの功名といえるかもしれない。

学芸員とは、日本の「博物館法」に規定された、博物館に設置される専門的職員および同職に就くための国家資格のことである。その職務は博物館法第4条第4項により、「博物館資料の収集、保管、展示および調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる」と定められている。ひと口に博物館といってもさまざまだが、ここでいう博物館とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学などに関する資料を扱う機関のことであり、総合博物館や歴史博物館など「博物館」の名称が付く施設のほかに、美術館や科学館、動物園から水族館、植物園まで含まれる。したがって、肩書きは同じ「学芸員」でも、扱う分野は多岐に分かれ、学芸員職にはそれぞれの勤務先に応じた高度な専門知識やスキルが求められるのだ。具体的な仕事内容は、概ね以下の通りである。

(1)資料の収集・整理
博物館のテーマに沿った資料を収集する。個人所蔵物や他館の収蔵物を買い付けたり、借り入れたりする場合は交渉や輸送の管理も担当する。集めた資料については図録や目録の作成、ラベルなどの貼付、デジタルによるアーカイブ化などを行って整理する

(2)資料の保存・管理
温度や湿度、照明などを適切に管理し、収集した資料がほこりやカビ、虫などのダメージを受けない良好な保存環境を整える。必要に応じて、資料の修理・修復や定期的な手入れを専門家に依頼する

(3)資料の展示・活用
博物館利用者が見やすく、分かりやすいように資料を展示する。展示のコンセプトや実際の展示方法、デザインを企画するほか、実際の展示スペースの設営や展示物の搬入・点検、広報資料の作成などの実務にもあたる

(4)資料の調査・研究
学芸員には、担当分野の研究・分析を行う研究者としての側面もある。収集した資料を精査するだけでなく、分野によっては長期間現場に出向いて調査・分析を行わなければならない。研究成果を論文や書籍、目録などにまとめて学術分野に貢献し、博物館の質の向上に努める

(5)教育普及活動
一般市民の教養を深め、文化振興を図るために、講師として博物館主催の市民講座や地域のカルチャースクール、小中学生の見学会などに参加し、講演や資料の説明を行う

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最終更新:6/9(金) 7:30
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