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不安の残るシリア戦。あえてハリルJの「よかったこと」を探してみた

6/9(金) 7:50配信

webスポルティーバ

 シリアを相手にホームで引き分け。これがW杯最終予選本番だったら、失態のそしりは免れないところだが、これはあくまでテストマッチだ。結果は、ほぼ度外視していい。

【写真】名将が採点する日本代表メンバーの通信簿

 試合内容を好意的に解釈するなら、テストマッチとしての価値を見出せる要素は少なくなかった。

 まずは、DF昌子源の先発フル出場だ。

 はっきり言って、出来は悪かった。失点の場面がクローズアップされがちだが、全体的にボール処理の拙(つたな)さが目についた。鹿島アントラーズでの(昨年のクラブW杯をはじめとする)プレーぶりを考えれば、起用の期待に応えたとは言い難い。だが、こうした経験を重ねていくことが重要なのだ。

 しかも、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、従来の主力であるDF森重真人を招集せず、事実上、「次のイラク戦も含めて、お前に任せるぞ」とのメッセージを送っている。昌子の気持ちを刺激する意味でも、最終予選を前に、テストマッチを効果的に活用した起用だったと言えるのではないだろうか。

 スペインで好パフォーマンスを見せている、FW乾貴士の起用にしてもそうだ。

 活動期間が短く、クラブチームに比べて組織的な構築が難しい代表チームでは、調子のいい旬な選手を見逃さずに使っていくことは必要なことだ。代表歴は乏しくとも、旬な選手が起用され、自分の特長を発揮できたことは、確実にオプションを増やすことにつながる。テストマッチにあるべき選手起用だった。

 さらには、攻撃があまり円滑に進まず、前線の選手が孤立しがちだったことで、逆にFW大迫勇也のボールを収める能力や、キープ力といったものが、改めて際立った。また、ミランでも日本代表でもプレー機会が限られていたFW本田圭佑も、後半途中から入った右インサイドハーフが意外とハマった。先発で90分間このポジションで、とは考えにくいが、オプションの可能性をうかがわせるという意味では、興味深いテストだったと言える。

 以上のように選手個々に目を向ければ、ポジティブな点を拾い上げることは可能だろう。テストマッチとしての意味をそれなりに持つ試合ではあった。

 ただし、それはやはり、好意的に解釈するならば、だ。もう少し試合全体を俯瞰し、内容を振り返ると、非常に物足りない試合だった。残念ながら、その印象は強い。

 例えて言うなら、昨年10月のW杯最終予選、ホームでのイラク戦に近い、攻守両面で何もできない試合だった。

 現在の日本代表は、ビルドアップからの攻撃については、すでに大きな期待をしにくくなって久しい。ポゼッションが安定せず、DFラインの背後へ長いボールを蹴るだけの攻撃に頼ることもしばしばだ。

 つまり、点を取る(あるいは、フィニッシュまでつなげる)には、基本的にいい形でボールを奪ったところから、それほど手数をかけずに速く攻め切ることが必要となる。

 実際、最終予選に入って以降、日本代表が狙いどおりにゲームを進め、勝利を手にした試合というのは、守備に軸足を置いた戦い方が選択されている。大別すれば、リトリートしたオーストラリア戦(アウェー)と、プレスをかけたUAE戦(アウェー)という違いはあるが、どちらも相手のよさを消して、狙いどおりにボールを奪い、そこから攻撃につなげる戦略がうまくハマったものだ。

 おそらくハリルホジッチ監督は、次のイラク戦(アウェー)でも、3月のUAE戦と同じような狙いを持っているのだろう。

 指揮官は、すでにイラク戦の試合会場となるテヘランのスタジアムはピッチ状態が悪いとの情報を得ており、中盤でのボール争奪戦に備える準備があった。

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