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ベンチも爆笑の天然系。仙台大の豪腕投手がドラフト上位候補に急浮上

6/9(金) 11:52配信

webスポルティーバ

 秋の「明治神宮大会」は、投手も打席に立つ決まりになっている。だから、大学の東北代表を決める大会もそれにならいDH制を採用していない。

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 今の大学野球のリーグ戦はほとんどがDH制を採用しているため、投手は実戦での打席を経験できず、4年生にもなるとバッティングの感覚は随分とぼんやりしたものになっている。

 昨年秋、東北代表を決める大会でスイングした途端にひっくり返って、スタンドの爆笑を誘ってしまったのが仙台大の投手・馬場皐輔(ばば・こうすけ)だった。

 ちょうどドラフトまで1週間を切った頃で、チームには松本桃太郎というドラフト候補のスラッガーがいた。スカウトたちに「最後のアピール!」と意気込んで、それなりにピンと張り詰めた空気が漂う、そんな雰囲気のなかで馬場がやらかした。

 その馬場の姿にいちばん盛り上がっていたのが、仙台大のベンチだった。みんなが腹を抱えて笑い、ある者は転倒したまま起き上がれない馬場を指さし、涙を流して笑っていた。

 馬場は散々痛がった挙句、とうとう仲間に肩を担がれてダグアウトに下がっていった。しかし、自分でもおかしかったのだろう。”痛がり笑い”というのだろうか、実は本人がいちばん笑っていたようで、緊張感ある球場の雰囲気が一気になごんでしまったのだから、どこか愛すべき青年なのだろう。

「普通のヤツとどこか発想の根源がずれていて、面白い。我々はそれを”馬場ワールド”と呼んでいました」

 仙台育英高の2本柱の一角として春夏連続して甲子園に出場し、145キロ前後の剛球を投げまくっていた頃から、佐々木順一朗監督はそんな表現で馬場を評していた。

 ひっくり返った瞬間のベンチの反応を見ても、先輩、後輩関係なく、みんなに愛され、慕われているのがはっきりと伝わってきた。

 そんな馬場のボールを受けてみたい……。この試合以後、ずっと思っていたのだが、この春、その望みがようやく叶った。

 冒頭の試合では、まだボールも荒れており、逆球も目立ち、ボールとストライクもはっきりしていて、ピッチングに”幼さ”を感じていた。

 それがこの春のリーグ戦では、12奪三振での完封が2試合続き、四球もそれぞれ4個、1個と安定。防御率0.33は堂々のリーグ2位。球速も自己最速となる155キロをマークした。

 テイクバックは小さく、頭の後ろで軽くタメをつくる独特のリズム。トップの右手の位置が高く、そこから一気に右腕を振り下ろすそのスピードが恐ろしく速い。このリズムは、昨年のドラフトで慶応大から広島に1位指名された加藤拓也と重なる。

 ただし、腕を振る際の軌道が違う。

 加藤は腕を大きくスイングさせて、頭の上で遠心力をフル活用した軌道だったのに対し、馬場は右腕をしなやかにたたみ込み、顔の前で鋭く腕を振るイメージだ。

 立ち投げは、ほぼ構えたミットにピンポイントでくる。逆スピンの回転が実に素晴らしい。室内練習場に轟(とどろ)く捕球音にテンションも上がる。

 腰を下ろし、右打者の外に構える。スパイクが踏まれているのはプレートの三塁側。そこから一気に、タテにもヨコにも角度のついたボールが構えたミットに突き刺さる。サウスポーで言うなら”クロスファイアー”の球筋だ。

「ナイスボール!」

 最初からいきなりアウトローにベストボールがきた。そこから続けて3球同じボールを投げ込んできた。

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