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「天下一」を謳うもつ煮込みが待っている大森の居酒屋『T』

6/9(金) 12:10配信

@DIME

その煮込み、本当に天下一なのか!? 大森『T』の評価

オヤジス度    ★★★
エルドラ度    ★★
オヤジナリティー ★★★

 今回は久しぶりにけっこう有名な店! それも酒場のツマミではオレが一番好きな『もつ煮込み』で有名な店。

 それが、大森の『T(仮名)』だ。なにしろ間口の上の年季の入った日除けテントには“天下一煮込み”なんて書いてある。こりゃとっくの昔に行かなきゃいけなかったんだけど、それが色々と理由があって行けなかった。

 2年以上前に一度行ったことあったんだけど、なぜか店の電気はついてるのに、暖簾が下がってない。それで店の前では女将さんと思われる女性が、これまた近所の呑み屋の女将さんなのかなぁ、なにか話し込んでいる。それも井戸端会議でありがちな明るい表情ではなく、どこか曇った雰囲気。

 それで、一緒にいた友人が「お店は休みですか?」と聞いたところ、なんとその日、ご主人が体調を壊したので、今日は休業するとのこと。

 あら~残念……また今度来ないと、とその日は軽い気持ちで他の店に行ったんだけど、その後の情報によると、それからお店はかなり長いこと休業し、一度は再開したものの、最終的に廃業したらしい。

 ところが去年。今度は別の資本が入って再開したとの噂。でも資本が入った時点でちょっと興味も薄れちゃったんでなかなか行くことはなかったんだけど、たまたま大森に行く用事があったので、一人、入店してみた。

 とにかく店内の雰囲気がイイ! 広い間口に面したコの字型のカウンター、カウンターの中の厨房には大きな鉄鍋で名物の煮込みが、静かに、煮立たない程度の絶妙の火加減で温まっている。カウンターの両脇には、4人座れるテーブル。

 創業は昭和45年だとカウンターに置いてあった店のカードに書いてあったが、その当時から年輪を重ねた味わいが満ち満ちている空間。蛍光灯っぽい照明がなんとも気取らなさを感じさせる。

 別にノスタルジックな雰囲気がならばイイとは思わないが、疑似再現エセレトロの店では出すことのできないこの空気は素晴らしい! これはナイスなジャンバー酒場と思ってメニューを見てみたら、アレ!

 アレレレレレレ!! 予想よりお値段がお安くない! 高くはないよ。高くはないけど、ジャンバー酒場の価格帯ではないかな~、ジャンバーがブルゾンになっちゃうくらいの価格設定。それがいくらくらいかってェと…。

『ジャンバー酒場人間よりちょい貴族の香り』

 ホッピーセットの480円、名物の煮込みが480円ってのはいいけど、だいたいのメニューが480円以上なんだよね。一番安くて380円くらい。

 いや~これ普通か? 普通だよな。オレがセコくなってるだけなんだろうけど、いっつも立ち呑みとかばっかり行って、

「とりあえず安く酔えればそれでイイ!!」

 っていうジャンバー酒場愛好家にとっては、

「貴族の世界~!!」

 って思うかもしれない。でもまぁ、たまには貴族の世界もいいじゃない、ジャンパー着てても。

 以上、メニューをみた瞬間にかなり動揺したことはしたんだが、そんな動揺を見せると恥ずかしいんで、いたって冷静な振りをしてホッピーセットと煮込みを頼む。

 するとカウンター内の女性に「煮込みの大きさはどっちにします?」と、普通のお鉢と大きめのお鉢を示された。メニューでは『煮込み・480円』という表記の横に『煮込み(大)・680円』という表記もあったけと、この表記を読み解いた感じでは普通に「煮込み」と頼めば、480円が出てくるもんだと推測してたんだが、480円を頼みたい時は「煮込みの小さい方!」とちゃんといった方がイイのかもしれない。まぁそのくらい“大”を頼む人が多いんだろう。そのくらいうまいんだろう。

 そこまで期待をして出てきた480円の方の煮込みは、さすがに見た目からして凄味がある。

 茶褐色の汁と同じ色まで煮込まれた腸っぽい部位。白っぽい部位もまじってるが、これはガツか血管系か? ありがたいことに野菜がまったく入ってないオレの一番好きなスタイル! ただ野菜は入ってないが、これまた煮込まれていい色に色づいた豆腐が入ってる。そして全体にかかる小口切りの白ネギ!

 醤油の香りを纏いながら立ち上る湯気が、オレの鼻孔に「喰ってくれ!」といわんばかりに主張してくる。たまらず七味を振りかけ、腸っぽい部分を口にほおり込む!

 マイッ!! ウマイの“ウ”は省略するくらいウマイ。なんだろうね、ほんのわずかに五香粉みたいなエキゾチックな香りもする。

 じゃあ、これが天下一か? っていうと……。

『味自慢の自称。そしてその実態の関連性』

 人生で食べた豚モツ煮込みの中で、これが一番か? 天下一か? といわれれば、一番ではないかもしれないけど、5本の指には入る!

 群馬に“天下一”によく似た文言の“日本一”を名乗る、これまた有名な煮込み専門店があるんだけど、オレはそこよりコッチの方が好き! 

 ただ“日本一”とか“天下一”とか、あと“世界チャンピオンの店”だとか、そういう“一番”を看板に掲げる店って、決まって「本当にこりゃ一番だ!」って思うことはまずないよねェ?

 だいたい3~10番の実力はあるところが多いけど、自分から一番って名乗って本当に一番の店ってオレは出会ったことがない。あ、これ、文句いってるようですが3~10番ってすごいことですから、ホメてますからね。そもそもオレの好みだし。

 ちなみにシャレなのかなんなのか「2番目においしい!」って名乗る店がたまにあるじゃん? あれは絶対100番手以下っつうか、ランキングにも入ってねぇ店ばっかだぞ! これはオレの好みじゃなく万人の共通意見だと思う!

 そして、この煮込み、実はモツ以外にとんでもないウマサが隠れていた。それが豆腐だ!!

 モツの旨味が溶け出た最上級の汁を全部吸い尽くした、豆腐のレベルを超えた味! これは本当に天下一!

 普通さ、煮込みに豆腐が入ってても、豆腐はテキトーに食べて、モツ部分を大事に喰ったりするもんだけど、この店の豆腐に関しては、モツと同等、いやそれ以上に大事に大事に少しずつ、もう愛でるように食べましたよ!

 それでよくメニュー見たらあるんだよ、その豆腐だけを皿に盛ったと思われる『煮豆腐(380円)』ってヤツが!! これを行くのも手かもしれないね、100円安いし。でもモツも喰いたいしね、普通の煮込みならモツと豆腐の両方味わえるんで、一人で呑むんだったら煮込みで正解か。

 この手の店に長居するのも悪いんで、ホッピーの中(200円…これは高くないね!!)を3杯追加して、飲み干すのと同時に煮込みも完食。御勘定は2000円いかないくらい。

 貴族っぽいっていったわりには、この雰囲気でこの値段なら文句ないか!! ただこの店、もう一コ貴族的要因があるんだよ。席料が250円かかる。それでお通しでも出てくるのかと思ったら、出て来ないで純粋な席料! いいですよ、いいですけどやっぱりジャンバーは似合わねぇな。

文/カーツさとう

@DIME編集部

最終更新:6/9(金) 12:10
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