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食中毒に注意!健康なビジネスパーソンでも「これだけは気をつけたい」こと

6/9(金) 12:30配信

Wedge

 食中毒の患者(被害者)は、子供・高齢者・病人といった「健康弱者」に多い。働き盛りのビジネスパーソンにはあまり関係がないと思っているかもしれないが、油断するが故に陥りやすい落とし穴もある。

夏期も冬期も食中毒は発生する

 昔から6月に入ると「食中毒の時期到来」と話題になる。たしかに、かつては、気温も湿度も高くなる6月くらいから食中毒が増え、涼しくなる10月を過ぎるまでは高い発生率が続いていた。衛生環境が整っていない時代には、高温多湿の日本では、この時期に食中毒が多発することは避けられなかったであろう。

 しかし、冷蔵庫が普及し、流通システムが発達し、保存料などが開発され、食品の安全性に関する環境が整ってきてからは、とりわけ夏場に食中毒が多発するという強い傾向は見られなくなった。このところ、毎年大きな話題となるノロウイルスによる食中毒は、12月がピークとなる。

 一般的に、食中毒は原因から見て、大きく3つに分類することができる。

1:細菌を原因とする食中毒
2:ウイルスを原因とする食中毒
3:その他(自然毒や寄生虫や化学物質など)

 1の細菌には、サルモネラ属菌、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、ブドウ球菌、ボツリヌス菌などがある。これらは「生物」なので、水分が多く(湿度が高く)、生育に適正な温度がある夏場に多く発生する。一方で、2のウイルス(ノロウイルスなど)は、厳密にいうと「生物」ではないので、生育に適正な気候条件とは関わりがないために、夏場に多く発生するわけではない。むしろ、体温の低下でヒトの抵抗力が下がったり、カキなどの貝類を食べる機会が増えたりという「食べる側の都合」によって、冬期に多く発生すると考えられている。

 これらの内容について詳細を知りたい人は厚生労働省の報告【※1】を見てほしい。

獣肉の「生食」は絶対にダメ!

 食中毒の予防はきわめてシンプルだ。肥満症などのように「長年の食習慣の積み重ねであるがゆえに一朝一夕にはどうにもならない」というわけではない。細菌の場合は「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則を徹底すればよい(ウイルスの場合は「生物」ではないので「持ち込まない」「広げない」「つけない」「やっつける」と少しややこしくなる)。

 さらには、食中毒を予防するために、食品の購入から摂食までに気をつけたい「6つのポイント」というものも提供されてある【※2】。これらは、主として、家事を預かる人向けの注意事項。きわめて重要なポイントだが、ここではとりわけビジネスパーソンが陥りやすい点に絞ってお伝えしたい。

 まずは何といっても「生食」を避けることだ。細菌は「生物」なので十分な加熱(75度で1分以上)によって殺すことが最大の「無害化対策」だ。日本には刺身という、世界でもまれにしかない食文化があるが、加熱をしていない「生食」が食中毒の最大のリスクであることには変わりがない。魚介類を生で食する刺身は、生産から喫食まで、きわめて高度な知識と技術に裏打ちされた経験者によって、はじめて(比較的)安全に食べられる食文化だ。教育や経験が十分ではない臨時従業員が提供する「生もの」はけっして安全ではないことを肝に銘じよう。

 牛肉の生食を法律で禁じたときに「食文化を法律で規制すべきではない。個人の責任において食べられるようにすべきだ」という意見もあったが、そもそも日本には「獣肉を生で食べる食文化」が定着しているわけではない。そのことよりも、O-157などという命に関わる食中毒予防を法律で定めるのは当然であろう。肉(筋肉)よりもさらに危険性の高い内臓類(レバーなど)を生食するなどは、論外である。

 牛の生食を規制すると、法律では規制されていない豚や鶏の生肉を食べたりする人がいるようだが、これらもけっして安全だというわけではないので、避けるほうが賢明。

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最終更新:6/9(金) 12:30
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