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パラリンピックが変えた英国民 障害者との距離縮まる

6/10(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 パラリンピックには五輪とは違う社会変革の力があると言われる。実際、国際パラリンピック委員会(IPC)は「パラスポーツを通じて障害のある人々を一層包摂する社会を作ること」を、組織の目標に掲げている。
 2012年ロンドン大会を例にとると、パラリンピック開催で引き起こされたハード面の変化は、歴史あるロンドンの石畳が車いすでも動きやすいような特別な舗装になったり、競技場に近い地下鉄の駅にエレベーターができたりしたことが挙げられる。
 ただ社会へのインパクトという意味では、ソフト面の方が重要だろう。IPCのスペンス広報部長によると、パラリンピック発祥の地・英国でさえ、大会2年前は関心が薄く、観戦しようと思う英国民は7%だけだった。
 だがメディアやイベントなどを通じて魅力を知った280万人がチケットを買った。その結果起きた「最も大きな変化は人々の態度」(スペンス部長)だ。英国民の3分の2が障害者を受け入れやすくなるだろうと調査に回答し、3分の1が実際に障害者への態度を変えた。この変化は1年後さらに進み、障害者が職を得やすく、また望む教育を受けやすくなったという。
 偏見がなくなり、人々は障害者に自然に接するようになる。パラリンピックを機に国がそうした政策を進めることもある。スペンス部長は「政治家は国を変える機会として利用する」と話す。08年北京、14年ソチ、昨年のリオデジャネイロと、それぞれの国で障害者の権利に関する法整備がなされた。
 東京大会にからめて安倍晋三首相が憲法改正を持ち出したのは唐突だが、「社会が変わる」という気分が醸成されるのは間違いない。
(摂待卓)
[日本経済新聞朝刊2017年6月8日付]

最終更新:6/10(土) 7:47
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