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長友の負傷でハリルJにさらなる危機。大混戦のW杯予選突破へ…今こそ日本進化の時

6/10(土) 11:23配信

フットボールチャンネル

 13日に行われるロシアW杯アジア最終予選のイラク戦に向け、9日に決戦の地・イラン入りした日本代表。そこでの初練習、長友佑都が足を痛めてまさかの途中離脱。香川真司の欠場が決まり、山口蛍の出場も微妙、他にもコンディションに不安を抱えた選手が多い中、窮地に立たされたハリルジャパンはいかに戦うべきなのだろうか。(取材・文:元川悦子)

日本含め3チームが勝ち点で並ぶ大混戦に W杯アジア最終予選【グループステージ順位表】

●長友が練習切り上げ。イラク戦へさらなる不安要素

 8日にオーストラリアがホームでサウジアラビアを3-2で撃破。2018年ロシアW杯アジア最終予選グループBは、日本を含む上位3チームが勝ち点16で並ぶという大混戦になった。現時点では日本が得失点差+9、サウジアラビアが+7、オーストラリアが+6。消化試合数も日本がひとつ少ないため、優位な立場にいると言えるだろう。

 ただ、万が一13日のイラク戦(テヘラン)で勝ち点を取り損ねるようなことがあれば、両国との直接対決となるラスト2試合は厳しい戦いを余儀なくされる。ここは是が非でも勝ち点3を持ち帰りたいものだ。

 やや追い込まれた感のある日本代表は7日のシリア戦(東京)の後、8日夜の便で日本を発ち、9日昼にテヘラン入りした。この時期の現地は最高気温37度の猛暑。イラク戦開始時刻の17時前後も35度前後で。ギラギラと真夏の太陽が照りつけていた。標高1500mの高地ということで湿度も10%程度と極度に低い。環境への適応は日本にとって最初の関門になるだろう。

 8日の練習を欠席した吉田麻也(サウサンプトン)と酒井宏樹(マルセイユ)はトレーニングに復帰したが、右下腿痛の山口蛍(C大阪)は2日連続で全体練習を回避。長友佑都(インテル)も最初のランニング途中に右足内転筋痛を訴え、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督と話し合いの末、大事を取ってトレーニングを切り上げた。

 今後の動向は様子を見てみなければ何とも言えないが、すでに長谷部誠(フランクフルト)、香川真司(ドルトムント)を欠いている日本にとって、主力級2人のさらなる離脱はマイナス要素以外の何物でもない。

 とりわけ、長友の担う左サイドはシリア戦で攻守両面の起点になっていただけに、離脱となればチームの大きな不安要素になりそうだ。長友と原口元気(ヘルタ)の縦関係は昨年11月のサウジアラビア戦(埼玉)から最終予選3試合を戦って良好な関係が構築されつつあり、シリア戦後半からの長友と乾貴士(エイバル)のコンビも凄まじい迫力で相手を凌駕。日本の新たな武器になったと言っていい状態だ。

●左サイドバックの人選は? 日本の生命線で問われる選手層

 守備陣との連携を見ても、今回は左センターバックが森重真人(FC東京)から昌子源(鹿島)に代わったため、長友がサポートしていた部分は少なくなかった。昌子は「シリア戦をやったことで、自分は前よりすんなり入れると思う」と楽観視はしていたが、国際親善試合と最終予選は全くの別物である。

 長友が欠場する場合、同じ左サイドバック要員には、酒井高徳(ハンブルルガーSV)、槙野智章、宇賀神友弥(ともに浦和)の3人がいる。槙野は昨年10月のオーストラリア戦(メルボルン)で左サイドを担った経験があり、今回もサイドバックと起用される可能性は皆無ではない。が、目下のところは最終予選序盤4戦で先発した酒井高徳がファーストチョイスと見ていいのではないか。

 とはいえ酒井高徳も3月のタイ戦(埼玉)のボランチ抜擢には大いに苦しんだ。所属のハンブルガーSVでもボランチ、右サイドバックとの掛け持ちを強いられているため、左サイドバックをやるのは久しぶりとなる。

「1試合1試合でポジションが変わる中、感覚的なところをより研ぎ澄まさなきゃいけない。サイドバックの感覚でボランチやるとボールを奪われる可能性が高くなるし、ボランチの感覚でサイドバックをやってしまうと少し守備がおろそかになってしまう。それを頭に入れて切り替えをしっかりやることを心がけています」と本人も強調したが、口で言うほど簡単な作業ではないのは確かだ。

 実際、酒井高徳は昨年10月のホーム・イラク戦(埼玉)で失点シーンに絡んでしまっている。相手左サイドからのフリーキックに対し、中央でのアブドゥルアミルとの競り合いに勝てず、ヘッドでゴールを許す形になった。

「正直、中では何でも起こり得る。10本いいクロスをピンポイントで入れられたら対応するのは簡単ではない」と長友も苦しい胸中を代弁したが、酒井高徳が出るのであれば、よりリスタート対策を万全にしていくべきだ。加えて、最終ラインの他の選手たちとの意思疎通も高めていく必要がある。今回は無失点で乗り切らなければ勝ち点は奪えない…そのくらいの覚悟と意気込みを持って戦うことが大切だ。

●イラク戦、日本の総力結集し勝ち点3奪取を

 攻撃面でも、原口、乾との縦関係をより一層、研ぎ澄ませる努力が求められる。「(酒井)高徳はどっちかというと器用というか、ビルドアップの部分でかなり工夫してやってくれる。それが彼のよさかなと思います」と原口は話したが、最終予選序盤4試合で背番号8が光ったのも、酒井高徳が背後からいいサポートを見せてくれたから。それはひとつの大きなポイントだ。

 乾がシリア戦で目覚ましい働きを示したため、イラク戦はどちらが先発出場するか分からないところもあるが、原口&高徳の迫力ある縦関係を取り戻せれば、日本はゴールに近づくだろう。

 乾が左FWに入る場合、どの左サイドバックも一緒にプレーした経験は少ない。だが、ハンブルガーSVで強烈な個性を持った攻撃陣と常日頃からプレーしている酒井高徳なら、高度なテクニックを駆使したドリブル突破を得意とする乾をうまく活かす方法をすぐに考え、実践できるはず。試合までの準備期間はわずか4日と少ないが、できる限りのすり合わせをしていくしかない。

 香川が離脱し、山口も欠場の危機に瀕している中盤、昌子がトライされているセンターバック含め、今回のイラク戦はあらゆるポジションに不安がつきまとう。日本としてはまさに総合力を問われる状況だ。2010年南アフリカW杯から代表を支えてきた長谷部や本田圭佑(ミラン)、岡崎慎司(レスター)らが軒並み30代に突入する中、彼らの不在や苦しい時は必ず訪れる。それをうまく乗り切ってこそ、日本は次なる一歩を力強く踏み出せる。

 左サイドに君臨し続けてきた長友のポジションは特にテコ入れが求められる。酒井高徳を筆頭に若い世代が十分にやれることを示す絶好のチャンスでもある。もちろん長友が軽傷で、プレーに支障がなければ問題ないが、長友と酒井高徳、あるいは別の選手を使い回していくようなバリエーションを持てなければ、今後も安心して戦えない。

 選手層を広げつつ、イラクから勝ち点3をつかめれば日本にとっては理想的だ。そんなシナリオを現実にしてもらいたい。

(取材・文:元川悦子)

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