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「正社員、正家族」から「共社員、共家族」の時代へ --- 伊藤 将人

6/10(土) 7:12配信

アゴラ

現在、働き方改革などの議論が進んでいる。そもそも現在スタンダードとなっている正社員とはどのような存在なのか。また正社員を支える家族についても含めて考えてみたい。

自営業からサラリーマンへ

日本において、1960年頃までは農業を中心とする自営業が就業者の50%を占めていた。その後急速にサラリーマン化が進み、現在の自営業を営んでいる人は10%まで程度である。

自営業からサラリーマンへの変化は、仕事と家族との関係でいうと「仕事の家族からの分離」である。自営業において仕事と家族は不可分のもので、家族は仕事の労働力でもあったわけだが、サラリーマンでは仕事と家族は個々に存在する。その為、子供を多産するインセンティブは相対的に低くなったといえる。しかし、経済が発展途上で保険や年金などのインフラが十分に整備されていない社会では「生活する為に」家族は不可欠なものであった。例えば、夫婦で生活することは(共働きが前提)1人で生活するよりも効率的だし、高齢になることを考えて子供を作ることも必要なことだろう。ある一定の時期まで家族は生活する為に必要不可欠なものであったわけである。

正社員と正家族

正社員とはどのような存在であるかというと「なんの仕事でもやる人(できる人)」である。典型的な正社員とはオフィスワーカー(ホワイトカラー)を指す。製造業の工場などの仕事(ブルーカラー)は職務定義が比較的明確にできる仕事である。例えば「何時間で何を何個製造するか」「何日までのどの段階まで仕事を進めるか」など個々の仕事を定義することができ、求められる能力も比較的分かり易い。そこで働く社員は「この仕事をやる人(できる人)」のことである。

一方、オフィスワークは明確に職務定義することは難しく、色々な職務を時機に応じてこなすことが求められる。このようなオフィスワーカーは職務の幅が大きいがゆえに様々な経験を積むことが求められ、ゼネラリストである必要がある。このことは使用者側に転勤や職務変更の大きな裁量が与えられる働き方であるといえるだろう。そして、使用者と労働者はこのような使用者側の大きな裁量を認めるバーターとして、長期的な雇用と生涯賃金の保障を約束した。このような前提で働く社員が正社員という存在であると考えている。

そして、この正社員を支える存在として「正」家族(標準世帯)という家族形態がスタンダードとされるようになる。正家族とは転勤や職務変更などストレスの多い正社員を「専業主婦」が支える家族形態である。正社員、正家族を補強するものとして、企業手当や厚生年金などが整備された。

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最終更新:6/10(土) 7:12
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