ここから本文です

AIの未来はどこまで見通せる? 3人のプロが語り合った。

6/10(土) 11:00配信

ダ・ヴィンチニュース

 2017年4月某日。人工知能の世界で最前線を走る3人によるAI鼎談が行われた。集まったのは、AIの未来とシンギュラリティを背景にしたSF小説『エクサスケールの少女』を上梓した作家のさかき漣さん、ドワンゴ人工知能研究所所長の山川宏さん、玉川大学脳科学研究所教授の大森隆司さん。AIの現在と未来を専門家が語り合った。

山川宏氏(以下、山川) まず、知能のどこまでをAIにまかせるかという話ですよね。

大森隆司氏(以下、大森) そうですね。AIの抽象的、論理的な能力というのは、人間の憧れだったわけです。それを実現しましょうということで一生懸命動いてきた。けれど実はその裏側には“価値”というものがある。“価値”があるからそれを実現するために知能が頑張るというような、知能の方向を定めるべき裏側の価値観のところが、きちんと議論されていないまま今に至っている。AGIの話になった時に、そちら側の議論抜きに知能だけ作りますと言われると、それだと結果どんな社会になるのかよくわからないよね、と思いますね。

さかき漣氏(以下、さかき) 感情が未熟で、理性だけが発達してしまった知能って怖いですよね。

山川 怖いでしょうね。でも感情だけが発達というか、学習してしまうことも怖い。有名な「Tay(テイ)」の例みたいに、周りの人が変なことを教えると変な発言をするようになるので。差別的な発言とか。ですから感情も、育つところによって持ち方が変わってくる。あまり科学的ではないかもしれませんが、感情というのは人の間に伝播していくじゃないですか。

さかき そうですね。

山川 そこらへんのメカニズムっていうのはどの程度研究されているんですかね。

大森 社会学でやっているけれど、感情はなかなか綺麗には測れないんじゃないかな。

山川 でも雰囲気が伝搬していく、というのは間違いなくありますよね。

大森 間違いなくありますね。典型例はトランプ大統領の話で、トランプ以前は、ヘイトスピーチや差別は社会的に悪とされていた。けれど、トップがそれを平然と言うようになって、自分の中で抑えていたものを出してもいいんだ、となったら、わーっと出てきた。我々の社会の中にある価値観はとても多様で、いろいろな方向へ行く芽を持っているわけです。あとはそれを自分たちが作った社会の倫理観がどうコントロールするか。それによって行先が変わる。自分たちがどのような社会を作りたいのかが見えないと、AGIだけ、知能だけを作りますという話は極めて危険だなと思います。

1/5ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

【表紙】乃木坂46
特集1:乃木坂46 結成7年、その言葉は誰のものか?
特集2:フツーになんて生きられない。大人のための恋愛マンガ 恋する私たちはちょっとおかしい