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ナイキの「マラソン2時間切り」プロジェクト、成功の背景:「マーケティングの手本となる事例」

6/11(日) 8:10配信

DIGIDAY[日本版]

2017年5月最初の週末、スポーツブランドのナイキ(Nike)が招集したアスリートがイタリアのモンツァに集結した。エリウド・キプチョゲ、レリサ・デシサ、ゼルセナイ・タデッセの3選手が集められたのは、「不可能」といわれる偉業を成しげるためだ。それは、フルマラソンで2時間の壁を超えること。最終的に、キプチョゲが目標に26秒及ばない2時間25秒でゴールした。しかし、マーケターは「それでもナイキは勝った」と口を揃える。

「私はそれがただのパフォーマンスだとは思わない。彼らはレースに先駆けて十分時間をかけ、話し合ってきた」と話すのは、オースティンに拠点を置くエージェンシー、ドラムロール(Drumroll)のマーケティングおよびビジネス開発担当ディレクター、スティーブン・ボイドロック氏だ。「成功の要因は、コンテンツとインフルエンサーマーケティングが完璧に融合したことだ」。

ナイキは2014年から、「ブレイキング2(Breaking2)」と呼ばれる、この壮大なプロジェクトに取り組んできたという。プロジェクトが発表されたのは昨年12月。ランニングシューズの新作「ズーム ヴェイパーフライ エリート(Zoom Vaporfly Elite)」とともに披露された。このシューズは3人のアスリートがイベント期間中に着用していたものだ。今回のレースでは一流のペースメーカーが交代で先導し、水分補給戦略も練られるなど、コンディション確保に細心の注意が払われた。マラソン純粋主義者からは批判も出たが、このレースは最終的に人々の関心を集め、ナイキのマーケティング勝利という形になった。

「お手本」となる事例

ブランディング企業であるレッドピークブランディング(Red Peak Branding)」のスーザン・カンターCEOは、「これは素晴らしいマーケティングで、この先何年も手本として引き継がれていくだろう」と話した。「彼らはいままでにない、とらえどころがないものに目をつけ、人々の関心を集めた。そこから、SNSを利用して、さらに世に広めていった」。

さらに数字の面でも、同イベントがマーケティングの成功例であることがわかる。SNSモニタリング企業であるブランドウォッチ(Brandwatch)の過去7日間のデータによると、SNS上で「ナイキ」の出現数が58万4000件を超えていたという。TwitterやFacebook、そしてインスタグラムにたびたび投稿されているのだ。また、同じ時間枠内でハッシュタグ #Breaking2 は、40万7000回以上使用されており、そのうち87%がポジティブな内容だ。ブランドウォッチのシニアデータアナリストのケラン・テリー氏によると、#Breaking2 の累積インプレッション数が2兆回を超えているという。特定のハッシュタグに関連するインプレッション数としては最大だという。

伝統的に、ナイキのマーケティングは洗練されたテレビ広告、そして世界でもっとも人気のあるアスリートを豪華に起用することに重点をおいてきた。しかし、ブレイキング2のプロジェクトは、そのモデルから脱却し、技術やイノベーション、SNSを活用するための試みだったと、カンター氏は述べている。このイベント自体は非公開だったものの、興味のある人は誰でもインターネットにアクセスして体験することができたのだ。

ナイキはこのレースをTwitterとFacebookでライブ配信し、インスタグラムではライブと今回のチャレンジの舞台裏をシェアした。同社はまた、ハッシュタグ #Breaking2 をフォローすれば、手軽にSNS上のアクションを追跡できるようにし、ハッシュタグ #Breaking2Alerts を使ってレース状況のアップデートをツイートした。Twitterではナイキ ヴェイパーフライ エリート シューズのオリジナル絵文字を使用することもできる。最後に、同社はこの夏、ナショナルジオグラフィックと提携して、長編ドキュメンタリーを公開する予定だ。

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