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疑惑を徹底追及する米国議会に学べ --- 中村 仁

6/11(日) 15:48配信

アゴラ

ボヤが大火に、日本政治の不手際

ロシア疑惑をめぐり、トランプ大統領の捜査への介入があったかどうか。相手が大統領でも、徹底的に追及する米国議会の精神、姿勢を見ていまして、日本との大きな違いに驚ろかされます。日米の政治、議会制度は違い、単純に比較できないにせよ、あいまいな処理が問題を拡大してしまう日本にとって、学ぶべき点はあると思います。

連邦捜査局(FBI)のトップだったコミー前長官が上院情報特別委の公聴会に呼ばれ、証言しました。解任される前までのトランプ大統領とのやり取り、会話の詳細な記録も提出し、「捜査中止の指示」と受け止めたと、語りました。さらに「大統領は私とFBIを侮辱した」とするなど、遠慮が全く感じられません。

日米で政治的な疑惑の追及が同時進行しています。米国での疑惑は対ロシア政策が絡む国家的な重大問題で、国の進路を左右する重みを持っています。一方、加計学園とか森友学園をめぐる日本での疑惑は、米国と比べれば、極めて小さな問題です。それを安倍政権は無難な処理で済まそうとして、最重要の案件に発展させてしまいました。

トランプ政権は政治的な未経験、未熟さもあり、疑惑が次々に浮上し、議会も動かざるを得なくなっています。そうした中での捜査機関トップの議会証言です。日本は、加計学園に獣医学部の新設を認めた問題で、「官邸の最高レベルの意向」、「首相の意向」が動いたとする文科省の内部文書の有無でもめています。安倍政権は透明度を持って、初期の段階から公正な説明をしていれば、よかったのです。

いつまでやりあっても無意味

官邸側は「怪文書の類」、「出所が不明確。存在が確認できない」、「文科省がそういう回答をしてきた」と、言うばかりです。前文科省次官の前川氏が「文書は存在する。私は読んだ」と、発言しています。「確認できない」とする側と、「存在する」とする側がいつまでもやりあっていても、時間を空費するだけです。米国なら公聴会形式で前川氏の証言を求め、虚偽の発言なら告発するでしょう。

官邸側は前川氏の人格否定にけん命です。それならば、国会に証人喚問して、公開の場で批判すればいいのです。官邸側に利があるという思いですから、国会の場が格好の機会を提供するはずです。それなのに、官邸側は「呼ぶ必要はない」、前川氏は「出る用意がある」ですから、攻守があべこべですね。「呼ぶ必要がある」側が呼ばないというのは、妙ですね。

さすがに、世論の批判を無視できくなったのか、松野文科相は9日、「範囲を広げて再調査する」と発言しました。今後、恐らく「文書はあった」、「内部におけるメモ的な資料であり、正式な文書ではない」、「最高レベルの意向、首相の意向というのは誤解である」とか、きっと否定的に説明するのでしょう。

強行突破、黙殺を続ければ、この問題は下火になるという読みが外れて、ボヤを大火にしてしまったという感じです。官邸側は「認可も適切に処理した」というばかりです。「獣医学部の現状がどうなっていて、どこに問題があり、学部を認可すれば何がどう解決するか。さらになぜ加計学園が適格なのか」を国会の場で説明しておくべきなのです。

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最終更新:6/11(日) 15:48
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