ここから本文です

伊藤園VSカゴメ。トマトジュース特許バトルの“真相”は? --- 宮寺 達也

6/11(日) 16:05配信

アゴラ

6月8日、トマトジュースの作り方をめぐって、食品メーカーの「カゴメ」が大手飲料メーカー「伊藤園」が持つ特許は無効だと訴えた裁判で、知財高裁は伊藤園の特許を無効とする判決を出した。カゴメの全面的勝利である。

特許無効訴訟では、判決が不服な場合最高裁に上告することができる。しかし、現在この特許を使用している製品は伊藤園の「理想のトマト」だけであるため、伊藤園にすればそもそも保有していてもあまり価値の無い特許である。恐らく、このまま確定するだろう。

さて、伊藤園はなぜ裁判に敗北したのか、カゴメはなぜ裁判を起こす必要があったのか、パテントマスターとして“真相”を解説したい。

問題になった特許は伊藤園の「理想のトマト」の製法

今回、裁判で争われた特許はニュースでは特許番号を特定できなかったので、やはり特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)で調べてみた。

伊藤園が権利者になっている国内特許は343件であり、ニュースにある「2013年に登録されたトマトの酸味を抑える特許」は8件確認することができた。さらに「カゴメはまず特許庁に特許無効審判を請求した」とあるので、審判情報を確認したところ、カゴメが特許無効を請求している特許が3件見つかった。それが、

特許5189667(2013年2月1日登録)「トマト含有飲料の酸味抑制方法」

特許5285176(2013年6月7日登録)「トマト含有飲料のフレッシュ感向上方法」

特許5285177(2013年6月7日登録)「トマト含有飲料の青臭み抑制方法」

の3つである。

そして、特許5285176と特許5285177の2件については、特許庁の無効審判の段階で「特許は無効である」と判断されている。

そして、最初の特許5189667「トマト含有飲料の酸味抑制方法」については特許庁が有効と判断した。カゴメはそれを不服とし、知財高裁に提訴したという訳である。(特許無効を巡る訴訟は、知財高裁が1審)

さて、この特許5189667「トマト含有飲料の酸味抑制方法」であるが、伊藤園は「理想のトマト」(https://www.itoen.co.jp/products/detail.php?id=163)という製品に使用しており、「理想の“おいしさ”と“栄養”を追求したトマト100%飲料です(砂糖・食塩無添加)」とアピールして現在も販売中である。

対して、提訴したカゴメも「カゴメトマト100%」(http://www.kagome.co.jp/company/news/2013/02/001493.html)という製品を出しており、「従来のトマトジュースに比べて、酸味が少なくさらっとした食塩無添加のトマト100%ジュース」と記載している。発売開始が2013年3月26日とちょうど伊藤園の特許が登録された時期であり、そして現在は販売していない。いつまで販売していたかわからないが、恐らく伊藤園の特許に抵触すると判断して販売を中止したのだろう。

だから、カゴメは「確かに私たちは伊藤園の特許に抵触しました。だが、そもそも伊藤園の特許そのものが無効だから問題無い」と主張した訳だ。そして、この主張は特許庁には否定されたものの、知財高裁によって認められた。では、伊藤園の特許にはどんな欠陥があったのだろうか?

1/3ページ

最終更新:6/11(日) 16:05
アゴラ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

アゴラ-言論プラットフォーム

アゴラ研究所

毎日更新

無料

経済、ビジネス、情報通信、メディアなどをテーマに、専門家が実名で発言することで政策担当者、ジャーナリスト、一般市民との交流をはかる言論プラットフォーム