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「ゆとり教育」批判が生み出した歪みを正せるか

6/12(月) 18:00配信

BEST TIMES

社会の求める人材像がその国の教育を作る。『2020年からの教師問題』著者・石川一郎氏が日本の戦後から「ゆとり教育」までの教育史がどのような経緯で成り立ってきたのかを検証し、教育改革の必要性を説く。なぜ今教育改革なのか? (第3/3回)

ゆとり教育導入から今日まで「脱ゆとりは本質か?」



 2012年9月5日から、朝日新聞は「脱ゆとりの真相」という記事を3日間にわたって掲載し、「ゆとり教育」に関する当時の議論を紹介しています。
 その記事の内容を一部紹介します。
「2002年1月、当時の文部科学相遠山敦子(73)と事務次官小野元之(67)がつくったアピール文によって、文科省は『ゆとり教育』の路線を転換した。その3年ほど前―。『3.14が3になる』『さよなら台形君』1999年秋、大手学習塾『日能研』が関東一円で新聞の折り込み広告や駅のポスターでそうした宣伝文句をうたった」この大手塾の宣伝から、「ゆとり教育」に対する風向きが変わったとしています。つまり、その内容について批判が相次いだのです。

 98年から文相に就任していた有馬朗人は、「学校はきつきつの授業で生徒を画一的に教え込み、ゴムが伸びきったような状態で大学に送り込んでくれるな」と言って全国を回っていましたが、「ゆとり教育」に対するバッシングは止まりませんでした。
 そのことを有馬氏は以下のように回想しています。
「受験人口の減少で危機感を持った私立には公立の教育内容が薄くなるという情報は渡りに船だった。この宣伝と結びつき、新学習指導要領の不信感を結果的に高めたのではないか」。
 この結果「ゆとり教育」は、方向転換を図らざるを得なくなったのです。

 私自身、当時のことを思い起こすと、「ゆとり教育」は、その本質的な内容に関する議論があまり行われていなかったと思います。
 それどころか、記事の通り、多くの私学は、少子化の中で生徒が減ってきた状況を打破する絶好の機会ととらえ、「ゆとり教育」に対するバッシングをすることで生徒集めにつなげるキャンペーンをはりました。
 私は、ずっと私立学校で教師をしていますが、この時、多くの私立学校では「ゆとり教育」に追随せず、授業時間の削減もすることなく、大学受験をピラミッドの頂点とする学習の在り方をより強化する方向に舵が切られました。
「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する」という方針に対して、知識を徹底的に教え込まれるという教育が展開されたのです。
 残念ながら、「ゆとり教育」により、当時の有馬文相が懸念していた「きつきつの授業で画一的に教え込む」方向により進むこととなりました。

 しかし、21世紀も十数年が過ぎ、教育を取り巻く外部環境の変化は、「ゆとり教育」導入時に議論されたように、大きなものになりました。そして、今後の社会に予想される激しい変化には、現状の教育では対応できないのではないかという議論が再燃しています。
 さらに今、社会の求める人材と現行の教育で供給される人材とのかい離が、社会で大きく叫ばれるようになりました。
 その結果、教育に力を入れる第2次安倍内閣が、この度の三位一体の教育改革を推進することになったのです。

〈『2020年からの教師問題』より構成〉

文/石川 一郎

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