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「サッカーのトレーニングでランニングは無駄」 Jリーグにも上陸。欧州サッカーを変えた新理論

6/12(月) 19:31配信

footballista

“スパルタ式”でメンタルを鍛えるのは間違っていない。しかし、同じことはサッカーのゲームでできる

――今回の講習会の内容を踏まえて、質問したいことが2つあります。1つ目は日本の悪しき伝統と言われている長時間のハートドレーニングについてです。ただ、スパルタ式のトレーニングは過酷な状況下でメンタルを鍛える効果も期待しているという側面もあります。サッカーにおけるメンタルを向上させるトレーニングについてはどうお考えですか?

「選手を激しくトレーニングすると脳が強くなる、激しい負荷に耐えられるようになるというのは論理的に正しいです。それを走るという方法で鍛えることは可能だと思います。だから必ずしも日本の指導法が間違っているわけではありません。ただし、単純に走らせるのではなく、それをサッカーのエクササイズの中でやらせた方がより効果的というのが私からの提案です。日本の指導者は走らせて選手を疲れ果てさせ、疲れてもまだ走らなければならないという過酷な状況を作り出していますが、それと同じシチュエーションをサッカーのゲームの中で起こすのが私のトレーニングです。選手が疲れ果てている状況でサッカーをプレーさせ続けさせることで、ゲームの中の(判断/実行などの)タスクをこなさせるのです」


――もう1つの質問が、ヨーロッパのトップレベルでは選手の負荷を厳密に管理しているそうですが、例えば管理外のトレーニング、練習が終わった後の個別練習や子供たちの遊びのサッカーといったものに関してはどう負荷を管理し、どういうやり方で対応すればいいのでしょうか?

「まず負荷の管理に関してですが、強度を細かく設定し、オーバーロード(過負荷)を与えるのは成長期が終わってからだと考えています。その上で、クラブでは優れた選手同士がしのぎを削るようにトレーニングに取り組みますので、強度を管理するのは非常に重要になってくるでしょう。一方で、遊びのサッカーの場合はトレーニングほど強度は高くないですし、テンポの低いサッカーになるので、それほど強度を管理する必要はないと考えています」


――それは遊びのサッカーは自由にやらせていいということですか?

「子供たちに関してはそうです」


――では少し年齢が上、例えばU-15のカテゴリーの場合はどうでしょう?

「それくらいの年代になってくると、トレーニング以外でサッカーはさせたくないです。トレーニング自体の強度が非常に高くなる年代ですし、さらにそれ以外の活動を行うと負荷をコントロールできなくなります」



プレーのインテンシティは今以上に高くなる。
それに伴い選手交代のルールも改正されるだろう



――講義を聞いてとても興味深かったのが練習の強度を調整する方法です。エクササイズに参加する人数を変えて調整したり、例えばU-16対U-17のようにカテゴリーの違うチームを対戦させて強度を変えたりするとおっしゃっていましたが、U-16とU-17のチームが戦った時、カテゴリーが上のU-17側のメリットというのは何かあるのでしょうか?

「U-17の選手にとっては彼らの方がボールを持つ時間が長くなるので、攻撃をテーマにした戦術トレーニングをするのに有効なのです。もちろん、U-16の選手にとっては同年代のチームとの対戦に比べて、より高い強度の練習ができることがメリットです」


――ヨーロッパ全体の話なのですが、ここ2、3年でトップレベルのインテンシティが急激に上がっていると感じています。例えば、プレミアリーグでは前線からのハイプレスの進化が著しい。このようにゲームのインテンシティ、テンポが上がっていく中で、コンディショニングはどう変わっていくのか、あるいはそこに対応するには何が必要になってくるのかを教えてください。

「まず、プレーのインテンシティに関しては今以上に高くなっていくでしょうね。最終的にどうなるかというと、おそらくは交代選手の数が増えていくか、あるいはアイスホッケーのように一度交代してもまた戻って来られるようルールが改正されるのではないかと予想しています。ですから、強度やテンポはこれからもどんどん上がっていく可能性が高いでしょう。強度が上がっていく中で、今度はその高いインテンシティをより長い時間維持させるにはどうするか、その方法を考えていくことになるでしょうね」


――具体的にどういうトレーニング法でしょうか?

「例えば、ハイテンポなプレーを4分間行い、2分間の休憩を挟み、またハイテンポなプレーを4分間、これを4回繰り返すとします。4分の間に20回アクションを起こすとしたら、4セットで計80回アクションを起こすことになります。そうすると、22分の間に80本スプリントすることになります。ここで休憩を2分から1分半にすると、同じ80本のスプリントを20分半の中で行うことになります。さらに休憩を1分にすると、19分間で80本スプリントすることになります。こうしてスプリントの頻度を上げることで、より素早く回復する能力を養っていく、といった高いインテンシティを維持するトレーニングメニューが求められるようになっていくのではないでしょうか」

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最終更新:6/13(火) 11:01
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