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【英国人の視点】ハリルJ、“鬼門”の6月決戦。海外組増加の日本代表、例年続く低調なパフォーマンス

6/13(火) 10:20配信

フットボールチャンネル

 13日、2018年ロシアW杯アジア最終予選のイラク戦に臨む日本代表。7日に開催されたシリア戦のパフォーマンスは低調であったが、この試合は親善試合であり結果が最優先というゲームではない。だがイラク戦はまさしく結果第一の一戦だ。この決戦に挑むにあたり、日本代表には若干気がかりなことがある。(取材・文:ショーン・キャロル)

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●親善試合の目的とは何か。試合にはそれぞれ重要度の差がある

 シリアとのドローに終わった先週水曜日の試合は名勝負とは程遠いものだったが、観戦する我々にとっては残念なことに、素晴らしいパフォーマンスや良い結果を得ることは親善試合の目的ではない。

 1-1の低調な試合を日本代表が教訓とし、火曜日にテヘランで行われるイラク戦で重要な勝ち点3を獲得できるだけの改善を成し遂げたとすれば、味の素スタジアムでの試合もその目的を果たしたということになる。

「ファンサービス」は日本において大きな要素であり、試合を終えたサムライブルーの選手たちも、一様に謝罪の言葉を述べた様子を見ればそのことを確信していた。だが、欧州のトップリーグでプレーする選手がますます増えていることもあり、試合にはそれぞれ重要度の差があることも彼らは理解している。内容の良くない試合が、チームを発奮させる上で大事な意味を持つ場合があることも。

「これが予選じゃなくて良かったと思います」と原口元気は試合後に話していた。「もちろん見に来てくれた人に対してあまり良い試合を見せられなかったのは申し訳ないですが、ここから改善できるなら、良い意味で予選じゃなくて良かったなと」

 酒井宏樹も同様に、この試合から教訓を得たいと口にしていた。W杯予選を突破するという最終目標を達成すれば、肌寒い調布の夜に見せた低調な戦いをファンが許してくれることも理解している。

「見に来てくれたサポーターを満足させないといけないですし、追求していくところは追求しないといけない。ネガティブになる必要は全くないですが、貪欲にやらなければいけない」とマルセイユのサイドバックは語った。

「次、本当に負けたら大変なことになりますから。今日悪くて良かったと思えるように頑張っていきたいと思います」

●少々気にかかるイラク戦のタイミング

 少々気にかかるのは、重要な一戦となるイラクとの予選の試合のタイミングだ。欧州のシーズンをまさに終えた直後という時期の試合となる。

 いまや日本代表の選手の大半は海外でプレーしており、先日のシリアとのドローも含めて、サムライブルーはこの時期には例年低調なパフォーマンスを見せている。

 たとえば昨年の6月7日には、ボスニア・ヘルツェゴビナの直接的なプレーとフィジカルに圧倒され、大阪で1-2の敗戦を喫した。ホームでシンガポールと0-0のドローを演じてしまったW杯予選のあの一戦も、2015年の6月初旬に行われたものだった。

「簡単ではないですが、僕らは代表選手なので。そこはみんなで擦り合わせていかないと」と、酒井は長く厳しいシーズンを終えたあとでもパフォーマンスを発揮する必要があることを強調していた。

 セリエAで7年間の経験を重ねてきた長友佑都も、欧州のクラブでシーズンを終えたあと、精神と肉体の状態を保つことの難しさを認めている。

「シーズンの最後なのでもちろん、みんなフィジカル面もメンタル面も疲れを感じてはいます」とインテルのスター選手は語った。

「それでも言い訳にはできないですし、今日の試合はイラク戦に向けてコンディションを整えることが目的でした。もちろん勝てなかったのは残念ですが、一番残念なのは(香川)真司の負傷だと思います。それでも、コンディションを高めるという意味では今日の試合に大きな意味があったと思いますし、13日にイラクに勝てる状態だと思います」

 ここのところボルシア・ドルトムントで本来の姿を取り戻す気配を見せていた香川を失ったことは確かに大きな痛手だ。彼を欠くテヘランでの日本代表には、代役として創造性を生み出す役割を果たす選手が必要になる。

「守備もはまらなかったですし、攻撃の形もうまくつくれなかったので、改善しなきゃいけないですね」と原口。「これから選手も監督も一緒に話をして、意見交換をするのが大事だと思います」

「僕自身チャンスがあって、決めていれば良かったんですが、自分のクオリティーが足りないから0-0で進んで流れが悪くなったというのがあるので。ああいうシュートを決められるのが日本代表の選手だと思うので、次は必ずああいうチャンスがあれば決めていきたいと思います」

●もはや失敗の余地は全く残されていない

 長友は、シリア戦での日本代表は立ち上がりが良くなかったと感じており、イラク戦では良いスタートを切ることが重要になると理解している。

「特に前半、相手にエネルギーがある間はなかなかマークを外せず、連携で崩すことができませんでした」と長友は述べた。

 新たな暫定監督としてバシム・カシムが指揮を執るイラクは、これまで通り戦いにくい相手であることを示してきた。今回の対戦に向けた準備試合では2試合連続の完封。ヨルダンに1-0の勝利を収めたのに続いて、直近の試合では韓国と0-0で引き分けている。

 4年ぶりとなるホームゲームを戦えたことで、チームの士気は高い(ヨルダンを破ったバスラでの試合には6万人の観客が集まった)。すでに予選敗退の決まったイラクには何も失うものはなく、アジア屈指の強豪である日本との試合で良い結果を残せたとすれば得られるものは大きい。

 木曜日の試合でサウジアラビアを下したオーストラリアも、勝ち点16で日本およびサウジと並んだ。だが日本は、「メソポタミアのライオン」と対戦する火曜日の試合をひとつ多く残している。

 イラク戦を終えれば、ヴァイッド・ハリルホジッチのチームが残すのは2試合のみ。オーストラリアおよびサウジアラビアとの直接対決だ。したがって、イラク戦では絶対に勝ち点3を手に入れなければならない。そのためには攻守両面でプレーを高める必要があるだろう。もはや失敗の余地は全く残されていない。

(取材・文:ショーン・キャロル)

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