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受動喫煙防止、待ったなし 渡嘉敷奈緒美衆院議員

6/13(火) 8:44配信

Japan In-depth

【まとめ】

・受動喫煙防止対策強化、健康増進法改正案、審議難航。

・自民党は「健康被害防止は絶対必要だが飲食店の危機感にも対応必要」との見解。

・地方も条例などで対応する必要があろう。



■受動喫煙防止派と分煙派の合意点

本国会での成立を目指している政府の受動喫煙防止対策を強化する健康増進法改正案は、「飲食店が廃業に追い込まれかねない」との意見が挙がり、国会で議論を呼んでいる。受動喫煙防止対策の強化賛成派と規制を受ける立場の反対派、双方の意見をとりまとめている与党の立場について、自民党厚生労働部会長の渡嘉敷奈緒美衆議院議員に、政治ジャーナリストの細川珠生氏が聞いた。

まず細川氏は、規制に反対する声に耳を傾ける必要性があるとした上で、なぜ自民党内で反対意見が根強いのか、その理由を尋ねた。これに対し渡嘉敷氏は、「受動喫煙を防止して欲しいという声と、吸う人に理解を示し分煙したほうが良いとの声があるが、受動喫煙による健康被害には絶対に対策を打たなければならないという点と、オリンピック・パラリンピックに向けて国際社会の中で日本が受動喫煙に取り組んでいるという姿勢を示していく必要があるという点は、両者の同意が得られており、どう歩み寄るか、問題を一つ一つ詰めている段階だ。」と述べた。

世界保健機関(WHO)の受動喫煙政策の普及の度合いで、日本は4段階中の最低ランクに位置付けられている。(注1)こうした中、世界のたばこ規制政策の第一人者、WHO生活習慣病予防部長のダグラス・ベッチャー氏が4月7日、都内の飲食店街を視察、日本の対策は不十分との見方を示した。また、WHOによると、世界49か国には全ての公共施設の「屋内を」全面禁煙とする法律があるが、日本は「屋内の」喫煙を規制する法律がなく、「日本の受動喫煙対策は世界最低レベル」と酷評されている。そのため、政策のランクを最低レベル4の「家庭の受動喫煙をなくす教育的対策を実施すること」から、せめてレベル3の「法律を周知させ、履行を徹底させること。」まで1ランク引き上げることが急務であった。

渡嘉敷氏は、法律によって仕事ができなくなるという飲食店の危機感にも対応する必要がある述べると共に、どの程度の面積を規制から外すのかなどを詰めて自民党案にまとめつつあると説明した。



■屋内禁煙で足りる

次に細川氏は、飲食店ばかりでなく教育機関などのケースも想定して、「WHOの基準に沿って改正案をつくるには敷地内全面禁煙に取り組む必要があるのではないか」と指摘した。

これに対し、渡嘉敷氏は、WHOの基準のランクを上げるためには屋内禁煙で足りると述べ、現状の厚生労働省案は小中学校・高等学校と医療機関は敷地内禁煙にしたいということになっているが、希望する場合は敷地内の屋外に喫煙所を設けるというやり方も可能にするとの考えを明らかにした。

大学、運動施設、官公庁などの施設もこれに当てはまる。また渡嘉敷氏は、喫煙所を屋外に出すならば環境のいい喫煙所をきちんと作ることを提案し、喫煙者の権利にも配慮を示したが、本質はあくまでも受動喫煙の防止にあることを強調した。

その他施設については、事務所、ホテル宴会場、商業施設は受動喫煙が起こりやすいため、屋内に喫煙所を設けることにしたことを付け加えた。



■高齢化社会の社会保障費

細川氏は、「今後の日本は高齢化社会の中で、日本社会全体の健康増進のためには社会保障費の増額が問題になっていくであろう」と指摘、今後の社会保障制度全体はどうあるべきか聞いた。

渡嘉敷氏は「社会保障費は税金と保険料でまかなっているので、労働人口が減ってきている中で、国民のみなさんの費用負担が増えてくる。(歳入が減れば)サービス改善のニーズに応えるのも、しんどくなってくる。」と今後の見通しを述べた上で「社会保障制度は新しい選択肢にそろそろ挑戦するべき」との考えを示した。「国としていままでのノウハウを生かし、産業をちゃんと興すべきだ。日本は健康で長生きできるノウハウを世界で一番持ってる。そこにビジネスチャンスが沢山ある。健康、医療を産業と捉えて育成することが大切だ。」と述べ、医療分野での成長戦略を進めるべきとの考えを強調した。

また、「国民皆保険制度のおかげで健康寿命は伸びているが、予防は殆ど手を付けられていない。健康寿命を伸ばす余地はまだある。」と述べた。



■地方議会でも議論を

最後に細川氏は、「2020年にオリンピック・パラリンピックを控えた状況で、万が一この改正案が通らなかった場合にはどうするか」と聞いた。

これに対し、渡嘉敷氏は「何が何でも法律で通さないといけない。」とした上で、「法律で、受動喫煙対策に対する方向性を国としてしっかり出す。」と述べ、「タバコを吸うなら、受動喫煙の可能性など、周りの人に配慮する必要性がある。厳しい法律を作るのではなくて、思いやりを日本人自らがきちんと持つことが必要だ。」として、法案成立後に受動喫煙防止を実現するためは、日本人のモラルが求められることを指摘した。

また、渡嘉敷氏は「地域によって事情は違うので、必要があれば条例などの追加措置をとってもらえればよい。」と述べ、さらに「この法律をきっかけに積極的に地方議会でも議論して欲しい。その上で、受動喫煙対策に対する意識啓発を地域でやって欲しい。」と述べた。

注1)受動喫煙防止のための政策勧告 世界保健機関(WHO)2007年 日本禁煙学会理事 松崎道幸氏 翻訳より

WHOは、これらの経験に基づき労働者と一般市民を受動喫煙から守るために以下の勧告を行う。

1.完全禁煙を実施し、汚染物質であるタバコ煙を完全に除去すること。屋内のタバコ煙濃度を安全なレベルまで下げ、受動喫煙被害を受けないようにする上で、これ以外の方策はない。換気系統が別であろうとなかろうと、換気と喫煙区域設置によって(訳注:つまり「分煙」によって)受動喫煙をなくすることは出来ないし、行うべきでない(訳注:not recommendedは「勧められない」だが、「~すべきでない」という強い禁止を含むと解釈した)。

2.すべての屋内の職場と公衆の集まる場の完全禁煙化を義務付ける法律を作り施行すること。法律は適用除外を設けず、すべての市民を保護する内容であること。法的拘束力のない自主的取り決めは、望ましい対策とは言えない。一定の状況の下では、例外なくすべての人々を効果的に受動喫煙から守る見地から、屋外またはそれに準ずる職場も完全禁煙とする必要がある。

3.法律を周知させ、履行を徹底させること。法律を作るだけでは十分とは言えない。その法律を適切に周知させ履行するには、要点を突いたある程度の努力と方策が必要である。

4.職場を禁煙にする法律が出来ると、家庭を禁煙にしようという市民(タバコを吸う者も吸わない者も)が増えることを見越し、家庭の受動喫煙をなくす教育的対策を実施すること。

WHOは加盟国がこれらの勧告に従って、学んだ教訓に沿って、職場と公衆の集まる場所を完全禁煙にする法律を作り実施するよう呼びかける。

出典)PROTECTION FROM EXPOSURE TO SECOND-HAND TOBACCO SMOKE Policy recommendations (C)World Health Organization 2007



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細川珠生(政治ジャーナリスト)/Japan In-depth 編集部(駒ヶ嶺明日美)

最終更新:6/13(火) 8:44
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