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奇跡の恐竜化石、保護ガラスなしの撮影許可に写真家は

6/13(火) 7:30配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

 写真家ロバート・クラーク氏は、何度も驚嘆の声を上げずにはいられなかった。

 クラーク氏はこれまで40本を超す「ナショナル ジオグラフィック」誌の特集の写真を撮影してきた。専門は太古の生命や文化だ。中国では見事な羽毛恐竜の化石を撮影した。5000年前に氷漬けになり、ミイラ化した有名なアイスマン「エッツィ」が研究者の手で解剖された際にも、その様子を見つめた。2300年前に生きていた人々が沼の中で保存されているのが見つかると、革細工のようになった彼らの顔を撮り、親しみを感じさせる肖像を残した。

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 だが、カナダのロイヤル・ティレル博物館にやって来て、これから撮影する被写体を初めて目にしたとき、クラーク氏は笑ってしまった。

 目の前にいたのは、1億1千万年前の恐竜、ノドサウルス類の化石だった。植物を食べる鎧(よろい)竜の1種だ。墓場が海底だったおかげで、外側の装甲、皮膚の斑点、軟組織の一部、さらには最後に食べた餌の残りかすとみられる内容物まで化石化していた。

 この化石は2011年に鉱山作業員が発見し、2017年5月12日に初めて公開された。これまでに見つかっているノドサウルス類の化石としては最高の保存状態であり、この数十年で産出した化石の中でも、見た目のインパクトは抜群といえる。

「『ゲーム・オブ・スローンズ』に登場するドラゴンのようでした」とクラーク氏は言う。「とても立体的で、映画用のつくりものかと思いました」

 あまりに良質な保存状態に圧倒されたクラーク氏は、この化石の素晴らしさを「ナショナル ジオグラフィック」2017年6月号で正確に伝えようと工夫を凝らした。標本の特徴が細部までよくわかるよう、照明の当て方に苦心した。

「これまで見てきた化石の中で、間違いなく最も感動的です」とクラーク氏。「優れた化石標本はいくつも見たことがあるのですが、これはレベルが違います」

 クラーク氏は、この化石を永遠に記録する責務を感じたと話す。というのも、保護ガラスなしで標本を撮影することを許可された写真家は、彼を入れても数人しかいないとみられるからだ。

 今回の写真は、化石の科学的価値を記録するだけにとどまらない。一般の人々、特に子どもたちの興味をいかにかき立てられるかが重要であることもクラーク氏は承知している(中には私より恐竜に詳しい子どもが間違いなくいるでしょう、と彼は付け加えた)。

「私の娘は8歳なのですが、その同級生何人かに写真を見せたんです」とクラーク氏。「目の前で『ボン!』と爆発が起こったみたいに、あっけに取られていました」

文=Michael Greshko/訳=高野夏美

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