ここから本文です

拘束されたナショジオ写真家、1カ月ぶりに解放

6/13(火) 18:21配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

トルコ南東部のダム建設地で取材中、当局は拘束理由を明らかにせず

 ナショナル ジオグラフィック誌の依頼で取材中、トルコ当局に拘束されていたフランス人写真家マティアス・ドゥパルドン氏が6月9日、1カ月ぶりに解放され、フランスへ帰国した。

ナショジオの取材をしていたドゥパルドン氏が拘束前に撮影した写真

 トルコに住んで5年になる36歳のドゥパルドン氏が拘束されたのは、5月8日、シリアとの国境に近いバトマン県ハサンケイフ地区を取材している最中のことだった。撮影していた写真は、近隣で持ち上がっているダム計画が現実となった場合、古い歴史を持つ町にどのような影響があるかを検証するナショジオの記事に使われる予定だった。

「マティアス氏が解放されて、心からホッとしています。彼は告訴もされないまま、1カ月以上不当に勾留されていました」と、ナショナル ジオグラフィック英語版編集長のスーザン・ゴールドバーグ氏は述べている。「マティアス氏は長年にわたり、世界中ですぐれた報道を実践してきた写真家です。彼が解放されたことには感謝しますが、そもそも彼を勾留すべきではありませんでした」

 ナショジオは、ドゥパルドン氏が今になって解放された理由に関してトルコ政府に問い合わせているが、今のところ回答を得ていない。トルコ政府は、彼がなぜ逮捕・勾留されたのかに関する問い合わせにも沈黙を守ったままだ。

 弁護士や友人らの話によると、ドゥパルドン氏は5月8日、彼が写真を撮っているところを見かけた警官に呼び止められ、自身がインスタグラムにアップしている写真のチェックを受けた。その中に、彼が数カ月前に撮影したクルディスタン労働者党(PKK)の兵士たちの写真があった。PKKは、数十年前からトルコ政府と敵対し、米政府からテロ組織の指定を受けている武装集団だ。写真を見つけた警官は、彼のことをテロリストの支援者と決めつけて勾留したとドゥパルドン氏は言う。当初は国外追放命令が出されたとの話も流れたが、それが現実となることはなかった。

 それからの1カ月間、正式な告訴が行われなかったにも関わらず、ドゥパルドン氏は国外追放者用施設の狭い雑居房に拘束され続けた。自らの扱いに対する抗議として、彼は5月21日から28日にかけてハンガーストライキを行った。面会に来た母親には、孤独と不安に苛まれ、医者の手当てを必要としている状況を語っていた。

 複数の国際団体がトルコ政府に対し、ドゥパルドン氏の拘束を解くよう要求してきた。NPOのジャーナリスト保護委員会は、彼の解放を求めるキャンペーンを展開した。国際的なジャーナリストの権利団体である国境なき記者団からは、事務局長のクリストフ・ドロワール氏が、ドゥパルドン氏と面会するために氏の母親を伴って現地を訪れた。友人や同僚らは、ソーシャルメディアで #FreeMathias というハッシュタグを使って氏の解放を求める声を上げた。

 9日に解放されると、ドゥパルドン氏は母親とともにイスタンブールへ向かった。その後、氏を乗せた飛行機はイスタンブールを離陸してパリに向かい、正式にトルコを離れることとなった。

文=Daniel Stone/訳=北村京子

記事提供社からのご案内(外部サイト)