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ドルの正しい値段を求める努力は無駄である

6/13(火) 12:30配信

Wedge

 ドルの値段は、毎日、毎時、毎秒動いています。しかし、どこかに「正しいドルの値段」があるはずです。それが求まれば、大儲けできるかもしれません。そう考えている人も多いと思いますが、無駄ですからやめましょう。

 最初は、経済初心者向け解説です。一般の方は、飛ばしても大丈夫ですが、復習のために一読していただければ幸いです。

そもそも正しいドルの値段って何?……経済初心者向け解説

 まず、正しいドルの値段とは何でしょう? 途上国へ行くと、何でも安く感じます。日本で300円の物が1ドルで売っていたりすると、「正しいドルの値段は300円だろう」と考えたりしますね。

 国連などが、「世界中の生活費を同じにするようなドルの値段」を計算しています。計算結果は「購買力平価」と呼ばれています。ある意味で正しいドルの値段なのですが、それを知ったからと言って大儲けできるわけではありません。どこの国の人が実は一番豊かに暮らしているのか、といったことを知るためには有益ですが、アフリカの方が理髪代が安いからと言って、アフリカまで理髪をしに行く人はいませんから(笑)。

 理屈上は、貿易されている物の値段だけを比べて、各国の値段が等しくなるようなドルの値段を計算することが可能でしょうが、それを計算しても、やはり途上国と日本を比べれば、外国の通貨はもっと高くなる必要がある、という結果になるでしょう。しかし、それは円とドルの関係が変化すべきなのではなく、途上国通貨とドルの関係が変化すべきだ、ということなので、日本人が気にすることではありません。

 理由は色々ありますが、途上国には輸出産業が少ないので通貨が割安になりやすい、ということは重要でしょう。途上国に輸出産業がないと、輸出代金のドルを受け取ることができないので、輸入企業がドル買い注文を出すと、ドルが値上がりしてしまうのです。すると、ドルを持って買い物にくる日本人にとって、途上国の製品がどれも安く感じられるわけです。

 そうだとすると、途上国を見ていても、円とドルとの正しい値段はわかりません。途上国通貨とドルの間の正しい値段はわかるかもしれませんが、わかったとしても、大儲けはできそうもありません。どうせ輸出産業がなくて輸出ができないなら、正しい値段に向かって修正されて行く力が働かないからです。

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最終更新:6/13(火) 12:30
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