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ひとつ願いを叶える代わりに、いただくのは「少女の肉体」――。淫欲な悪魔と孤独な少女が織りなす、「異端」な愛憎劇の行方は?

6/13(火) 11:00配信

ダ・ヴィンチニュース

 古来より“悪魔”との契約は危険なものとされている。彼らと契りを結んだ者は圧倒的な力を得る代償として、その身を捧げなければならないのだ。そんな悪魔との契約をテーマにした異色のラブストーリーが、いま話題を集めている。5月29日(月)に第1巻が発売されたばかりの『この愛は、異端』(森山絵凪/白泉社)だ。

 本作は、5000年に1人と称される美しい魂の持ち主である少女・淑乃と、彼女が自ら呼び出してしまった淫欲の悪魔・ベリアルとの歪な愛憎劇を描いた作品である。

 事故で両親を亡くし、親戚中をたらい回しにされてしまった淑乃。孤独感に打ちひしがれる彼女は、ある時、古書店で「悪魔召喚」の書物を見つける。藁にもすがりたいほど絶望していた彼女は、うかつにも悪魔を召喚してしまう。そこで呼び出されたのがベリアル。彼は淑乃に契約を迫るが――。

 本来、悪魔との契約は「何でも願いを叶える代わりに、寿命と死後の魂を譲渡する」というもの。しかし、ベリアルは特別にもうひとつの契約内容を提案する。それは「ひとつの願いを叶えるたびに、ひとつの対価を支払う。そして、死ぬまでずっと行動をともにする」というもの。その対価とは、肉体だ。

 けれど、淑乃は決断できない。恐ろしい悪魔を前にして、身の上話を打ち明け、散々愚痴り、涙を流す。それにほだされてしまったのか、ベリアルは「18歳までは普通の口づけのみ、18歳からは舌を入れ、20歳を超えたら愛撫も加える」ことで譲歩する。

 そこからふたりの生活がスタートする。家族の愛情に飢えている淑乃にとって、悪魔といえども誰かがいる暮らしは心地よいもの。一緒にご飯を食べ、ケンカをし、枕をともにする。それがこんなに愛情深いものだなんて、忘れかけていたのだろう。やがて、淑乃はベリアルに心を許すようになっていく。

 しかし、やはりベリアルは悪魔でしかない。淑乃に思いを寄せる男性・旭の存在に気づくと、異形の力をもって彼を排除しようとする。それも少しずつジワジワと精神を蝕むように。また、お盆に帰ってきた淑乃の両親の霊魂に対しては、「お前たちの娘は悪魔に魂を売った。普通の幸福を望んでも無駄だ」と冷酷に言い放つ。その根底にあるのは、彼女への執着心。読者の目にはそれが非常に恐ろしいものとして映るだろう。

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