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ロード・ウォリアーズ解散の衝撃――フミ斎藤のプロレス読本#022【ロード・ウォリアーズ編7】

6/13(火) 9:00配信

週刊SPA!

 1992年

 ロード・ウォリアーズが9年間つづいたタッグチームを解散したのは1992年8月。もっと正確にいえば、WWE所属のLOD(リージョン・オブ・ドゥーム)のメンバー、ホークとアニマルがコンビを解消――。

 “サマースラム92”ロンドン大会が、このふたりがタッグを組んでの最後の試合となってしまった。

 WWEのツアー・グループは“サマースラム”終了後、イングランドに残って2日間のTVテーピングをおこなったが、もうそこにはホークの姿はなかった。

 あとからわかったことだが、ウェンブリー・スタジアムでの試合が終わった翌日、ホークは予定されていたテレビ撮りの日程をすっぽかして、さっさとひとりでアメリカへ帰ってしまったのだった。

 ホークは、もうかれこれ1年もまえからWWEを出たがっていた。しかし、パートナーのアニマルは残留を強く主張し、ことあるごとにふたりは衝突をくり返した。

 ふたりのケンカをまるくおさめるために、休業していたマネジャーのポール・エラリングが現場に復帰してきた。やっぱり、あくまでもホークとアニマルがいっしょじゃないとビジネスにならない。

 “サマースラム”から1週間後、日本にもようやく「LOD解散」のニュースが伝わってきた。某夕刊スポーツ新聞には「ホーク引退」なる見出しがデカデカと載った。

 そういえば、“サマースラム”でテッド・デビアス&IRS(マイク・ロトンド)と闘ったときのホークのビジュアルにはそれなりの異変が表れていた。

 ご自慢の逆モヒカン刈りの隙間から、ポツポツとふつうの髪が生えはじめていた。あれだけ大きなイベントだったら、いつもよりもよけいに身だしなみを整えてくるものだ。気のせいかウエートも落ちていた。疑いはじめると、なにをみても疑わしくなってくる。

 いささかミーハー的な発想だったかもしれないが、ぼくは“追っかけ”精神でホークの家に電話をかけてみた。

 すると<おかけになった番号は現在使われていません……>というオペレーター・メッセージになっていた。ますますもって怪しい。ぼくはホークの居どころを知っていそうな人たちに片っぱしから連絡をとった。

 こういうときは徹底的に探偵ごっこをつづけるしかない。ホークがミネアポリスの自宅でのんびりしていることも、電話番号を変えてしまったことも、プロレスをやめるつもりなんかさらさらないこと――だからあの新聞に書かれていることを真に受けてはいけないのだ――もすぐにわかった。

 ホークは疲れきっているらしかった。ほんのしばらくのあいだでいいからノーマルな生活をしたがっているという。4人いる兄弟はみんなちゃんと結婚をしていて、子どももいる。

 しばらく会わないでいるうちに甥っ子たちも姪っ子たちもどんどん大きくなっている。ロード・ウォリアーズとしてアトランタでデビューしたのが1983年6月だから、もうまるまる9年もロードに出ていたことになる。

 そろそろひと休みしてもいいころかもしれない。ホークは34歳のバツイチだ。本人はしばらくゆっくりしてから日本のリングで活動を再開することを希望していた。もしできることなら、ハイスクール時代からの親友スコット・ノートンのいるところでプロレスをやりたいと考えているという。

 いっぽう、アニマルはこれからもWWEでがんばりつづけるらしい。ホークの後釜には末弟のターミネーター(マーク・ローリナイティス)を使うつもりだったが、WWEサイドは大型のクラッシュ(ブライアン・アダムス)を新パートナーに起用しようとしていた。もうひとりの弟ジョニー・エースは、全日本プロレスをホームリングに活動している。

 いずれにしても、LODは存在しつづける。WWEのロースターにいることでLODはワン・オブ・ゼムになった。でも、それはそれでよかった。

 ロード・ウォリアーズというタッグチームに特別な感情を抱いていたぼく――とぼくと同世代のみんな――は、最後の最後までリージョン・オブ・ドゥームなるチーム名にはなじめなかった。

 終わりがあるからまた新しい出発がある、なんていったらちょっとカッコよすぎるかもしれないけれど――。(つづく)

※文中敬称略

※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦 イラスト/おはつ

日刊SPA!

最終更新:6/13(火) 9:00
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