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精神疾患に家族の一体感はむしろマイナスになることも

6/14(水) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 生涯罹患率は3人に1人ともいわれている。2014年の総患者数は約392万人(出典:厚生労働省「患者調査」より)。精神疾患患者数が増加した日本(1999年は204万1000人・出典同)にあって、苦しんでいるのは患者当人だけではない。暴言を吐かれ、殴られることは日常。精神疾患患者の家族は、日々、心身がギリギリの状態で生きている。

 和歌山県精神保健福祉家族会連合会、通称「和福連」代表の大畠信雄さん(74才)は2008年、和歌山県内で当事者家族の実態調査を行っている。66の家族に対して聞き取りを行ったところ、共通の思いが浮かんできた。

「誰もが一度は無理心中を考えるんです。ただ、そこに続くのは、“もし自分だけが死んでしまったら周りに迷惑がかかる”という言葉。自分の子供は自分で面倒を見なくてはという思いが強く、高齢になるほどに自分を追い詰めていたのです」(大畠さん)

 家族で抱え込まず、社会全体で患者を救う――。そんな体制を整えるべく、大畠さんは2014年、「家族依存から社会的支援に向けて進める会」を新たに設立した。だが設立間もなく、地元で無念極まる出来事が続いた。

 2015年2月、県内で精神疾患を患う40代の娘を80代の父親が殺害する事件が起きた。大畠さんと父親は面識があり「一度、娘に会ってほしい」と言われていたが、娘が拒否したことで面会できなかった。

「凄まじい家庭内暴力で、父親は避難のために車中泊を繰り返す日々だった。母親も髪の毛が抜けるほどの暴力を日常的に受けていた。最後は電気コードで首を絞めて…。痛ましい事件でした」(大畠さん)

 昨年4月にも県内で、30代の娘を60代の父親が殺害する事件が発生。この時は事件10日前、病院を通じて家族会に連絡があった。

「“相談したいというかたがいる”という話だったのでぼくの電話番号を伝えてもらったのですが、連絡は来なかった。その父親による犯行だとわかったのは、事件の後です。奧さんからもその後、電話がありました。“連絡をせずに、すみませんでした”と。

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