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驚異の保存状態、恐竜時代のひな鳥を琥珀の中に発見

6/14(水) 7:20配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

頭や翼、爪の生えた足から、なんと皮膚と羽毛まで肉眼ではっきり

 9900万年前の琥珀(こはく)の中から、恐竜時代の鳥類のひなが発見された。

 6月6日付けの学術誌「Gondwana Research」に発表された論文によれば、このひな鳥は、約6500万年前の白亜紀末に恐竜とともに絶滅したエナンティオルニス類に属するという。今回の発見は、歯を持つこの古代の鳥について、そして、現代の鳥類とどのように違うのかについて、決定的な情報をもたらすものだ。

発見された恐竜時代のひな鳥の復元図

 また、ひな鳥の化石は、これまでにミャンマー産の琥珀から発見された化石のなかでは最も状態がよい。ミャンマー北部のフーコン渓谷は琥珀の産地であり、そのなかには白亜紀(1億4550万年前~6550万年前)の動植物が世界で最も多く閉じ込められていると考えられている。今回の研究はナショナル ジオグラフィック協会エクスペディションズ・カウンシルも支援している。

 羽毛の生え方から、研究チームはこのひなが生後わずか数日~数週間で樹脂に覆われ、文字通り、時が止まったのではないかと推測している。約7.5センチの琥珀の中に体の半分近くが保存されており、頭、翼、皮膚、羽毛、爪の生えた足を肉眼ではっきり確認できる。羽毛は白、茶、ダークグレーで、研究チームはビルマ語で琥珀色をしたタイワンヒバリを意味する「ベロン(Belone)」というニックネームを付けた。

 研究チームには、2016年12月、琥珀の中から恐竜の尾を発見したメンバーもいる。こちらは羽毛を持つ獣脚類の恐竜で、羽毛の構造を調べた結果、飛行は不可能だったのではないかと判断された。一方、それ以前に琥珀の中から発見されたエナンティオルニス類の翼は、現代の鳥類の風切羽(かざきりばね)と酷似していることがわかっている。

 新たに発見されたエナンティオルニス類のひなは、風切羽は完全に生えそろっているものの、それ以外の羽毛は薄く、明確な羽軸のない獣脚類の羽毛に似ている。

 生まれたばかりのひなに風切羽があるという事実は、エナンティオルニス類は生まれたときから飛行能力を持ち、現代の鳥類ほど親に依存していなかったという説を裏付けている。

 しかし、早い自立は代償を伴った。攻撃を受けやすい状態が長く続くことになったと、研究チームは指摘している。その証拠に、エナンティオルニス類はひなの化石が数多く発見されている(白亜紀の鳥類でひなの化石が確認されているのはエナンティオルニス類のみ)。

 この化石は2014年、中国騰衝にある琥珀博物館の館長グァン・チェン氏がミャンマーで購入したものだ。チェン氏は当初、謎の「トカゲの爪」が閉じ込められた琥珀があると聞かされていた。今回の研究の共同リーダーで、中国地質大学のリダ・シン氏に見てもらうと、エナンティオルニス類の足の爪であることがわかった。シン氏らが琥珀の画像分析を行ったところ、分厚い琥珀の層と炭化した植物、粘土が入った泡の下には、さらに驚くべきものが隠されていた。

「CTスキャンを行うまで、両足と羽毛しかない(と思っていました)。画像を見たときは本当に驚きました」とシン氏は振り返る。

「驚きはこれだけでは終わりませんでした」と言うのは、シン氏とともに研究を率いたカナダ、ロイヤル・サスカチュワン博物館のライアン・マッケラー氏。「羽毛の構造を調べていると、体の各部位をつなぐ透明な皮膚が見えたのです」

「ベロン」は現在、琥珀博物館に展示されており、その後6月24日から7月末まで、上海自然博物館で特別展が行われる予定だ。

文=Kristin Romey/訳=米井香織

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