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欧米金融機関を巻き込む「企業向けブロックチェーン連合」は邦銀にも広がるか

6/14(水) 8:10配信

DIGIDAY[日本版]

イーサリアム(Ethereum)スタートアップの集合体、コンセンシス(ConsenSys)とスマートコントラクトジャパンは5月9日、ミートアップイベント「Ethereum Asia Tour Japan」を東京都目黒区のアマゾン ウェブ サービスで開いた。コンセンシス グローバルビジネスデベロップメント、アンドリュー・キース氏は2月にローンチされたエンタープライズ・イーサリアム・アライアンス(企業向けイーサリアム連合[EEA])を日本企業に対し紹介した。

エンタープライズ・イーサリアムは金融機関やエネルギー、小売、製造業など広範な活用可能性が想定されており、ミートアップには日本の主要大手金融機関、エネルギー関連企業が参加。

EEAにはJPモルガン、UBS、クレディ・スイス、BBVA、マイクロソフト、アクセンチュア、BPなど金融機関をはじめとした欧米の大企業がすでに参加している。

イーサリアムは不特定多数が取引の承認を行える中央管理者のいないパブリックブロックチェーンを志向するが、金融機関や他産業の事業者は承認者を限定する管理者を置くパーミッションド(許可型)ブロックチェーンを求めていた。

金融機関はR3などの多数の企業が一定数の取引承認者の数を設定するコンソーシアムブロックチェーン(詳しくはこの記事)に参加していたが、ゴールドマン・サックスが昨年末にR3を離脱するなど暗雲が漂う最中に、イーサリアムがEEAを発表した。

EEAの開始により企業のニーズに応えるプラットフォームが整備され、プライベートとパブリックの区別がしっかりした。イーサリアムの技術レイヤーの幾つかを取り除いているように見えるマイクロソフトのブロックチェーン・アズ・ア・サービスなども、エンタープライズ・イーサリアムによりポジションがはっきりした。

金融機関などは常に許可制、プライベートを求めてきた。同日プレゼンテーションがされたJPモルガンの「Quorum」は規制当局とトランザクションに関与する2社以外に取引状況が知られないようにする利用方法を想定していた。

キース氏は「イーサリアムはプライベートな活用方法に対し最適化されていない。イーサリアムの改良プロセスは許可のいらないパブリックネットワークに集中しており、ユーザー企業は微調整する必要がある」と説明した。「インターネットとイントラネットの関係に近い。エンタープライズ・イーサリアムとイーサリアムは互換性を持ち続ける」。

運営方法に関しては「トップダウンはとらない」とキース氏は語った。インターネット技術の国際標準を議論策定しているIETF(インターネット技術タスクフォース)と同じように作業部会での支配的な見解(過半以上程度)が優先される「ラフコンセンサス」を採用するという。

イーサリアムはビットコインの根幹技術であるブロックチェーンに着目し、2015年に創設された。ピアツーピア技術で動くデジタルマネーという位置付けをとるビットコインに対して、分散型アプリケーションプラットフォームとして発展してきた。

キース氏は「スケーラビリティ(拡張性)の課題に関しては現状プルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用しているが、採掘(マイニング)をめぐる諸問題を解決できるプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を導入する予定だ」と語った。

ビットコインではステイクホルダー間の利害対立が、スケーラビリティの障害になっている。イーサリアムは採掘の報酬を工夫して課題を避けているが、イーサリアムのトークンであるETHが値上がりするなか、採掘者(マイナー)は固定価格を維持したがっており、利害対立の根を早期に除去できそうなPoSには期待されている。イーサリアムはPoSを含む大幅なアップデート(「メトロポリス」と呼ばれる)を見込んでいる。

この会合に先立ち、キース氏やイーサリアム 共同ファウンダーのヴィタリック・ブテリン氏は中国を訪れ、国有金融機関やアントファイナンシャル、北京大学、「The Global Blockchain Financial Summit 2017」などに出席。キース氏はDIGIDAY[日本版]の取材に対し「中国ではかなり多くのことをすることになりそうだ」と語っていた。

コンセンシス日本担当のジョン・リリック氏は「日本企業は公にしない形でブロックチェーンの活用を開始している。公にしているのはほんの一部にすぎない」と指摘した。DIGIDAY[日本版]の、グローバルではコンセンシスと提携関係にある監査法人トーマツへの取材でも同様のことが指摘された。

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