ここから本文です

農園の生産性を大幅にあげたデンソー流テクノロジー --- 畔柳 茂樹

6/14(水) 17:34配信

アゴラ

ベビーカーもハイヒールもOKの観光農園

弊社の観光農園「ブルーベリーファームおかざき」が、今期もグランドオープンを迎えました。6~7月は雨の多い時期ですが、雨天用ハウス栽培を開放しており、また雨具を着用すれば屋外の畑でもブルーベリー狩りができます。

畑には防草シートが敷いてあるため泥だらけにはなりませんし、フラットで歩きやすいため車イスの方やベビーカーの来園もOKです。晴れた日にはスカートやハイヒール姿でブルーベリー狩りができるということもあり、密かなデートスポットにもなっているようです。

このシート敷きを実現しできたのも、前回(http://agora-web.jp/archives/2026500.html)お話しした、「溶液栽培システム」のおかげです。

さまざまなメリットをもたらす「無人栽培」とは

大手企業の管理職だった私が決死の覚悟で脱サラし、憧れだった農業の世界に飛び込んで、試行錯誤のなか作り上げたこのブルーベリー観光農園。

従来の農業を見直し、前職のスキルを活かして“生産性向上”に徹底的に取り組んだ結果、年間の営業日60日あまりで1万人の来客数を記録し、連載タイトルのとおり、年収2千万円・シーズンオフは週休5日という生活を送ることができています。

それを実現した秘策のひとつが「溶液栽培システム」を利用した「無人栽培」です。

ブルーベリー農園というと、地面に穴を掘って植える「土耕栽培」が一般的。それに対して「溶液栽培システム」は、人工培地(アクアフォーム)を入れた大きなポットにブルーベリーを植え、その人工培地にコンピューターが日に数回ほど自動で液肥を点滴灌水してくれるというシステムです。

これにより、水やりや肥料をやる時間が大幅に削減できたのですが、やがて、むしろほかの2つのメリットの方が大きいということに気づきました。それは、最高品質のブルーベリー生産が可能になったことと、生育の速さです。

植物の眠っている潜在能力を最大限に引き出す

さて、なぜこの方法で最高品質のブルーベリーができるのでしょうか。

そもそも植物には必ず原産地というものがあり、長年生育してきた環境はその植物にとって最適なものです。植物を栽培するうえでは、その原産地の環境を再現することが必須となります。

ブルーベリーは、北米原産のツツジ科の落葉温帯果樹で、強い酸性土壌、排水性、保水性の良い土壌で生育してきました。日本は気候的には温帯なので問題ないのですが、土壌に大きな問題があります。

しかし、溶液栽培システムは、排水性、通気性、保水性を兼ね備えた人工培地(アクアフォーム)に、定期的に「強い酸性」と「アンモニア態窒素」の要素を重点的に反映した肥料を自動供給してくれます。安定的に、原産地北米の環境を忠実に再現できるのです。

肥料の配合の比率などは品種によっても異なるため、まだ手探り状態で日々研究を重ねていますが、酸性かアルカリ性かを示すPHや肥料濃度ECなどを数値でチェックし管理できるため確実に再現性が保障され、ほとんど失敗はありません。

原産地の環境にできる限り近づけ、眠っている潜在能力をあますところなく引き出したブルーベリーは、見た目からしてほかのものとは大きく異なります。

当園では、35種類1300本の完熟ブルーベリーを揃えていますが、大粒のものではなんと500円玉大というサイズ。美味しさを測るひとつの指標である「糖度」も、一般のフルーツの10度~15度くらいに比べ、晩生種ラビットアイ系ブルーベリーの糖度は16度以上と甘さが際立っています。味にコクがあり、パリッと食感がいい皮も特長です。

1/2ページ

最終更新:6/14(水) 17:34
アゴラ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

アゴラ-言論プラットフォーム

アゴラ研究所

毎日更新

無料

経済、ビジネス、情報通信、メディアなどをテーマに、専門家が実名で発言することで政策担当者、ジャーナリスト、一般市民との交流をはかる言論プラットフォーム