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買うべきか、買わざるべきか? 賃貸派の結末 コンサルタントの石川貴康氏に聞く

6/14(水) 5:00配信

日経ウーマンオンライン(日経ウーマン)

人生の可能性を狭める持ち家のローン買い

石川:それに無理をして持ち家を購入する行為は、人生のリスクを高めるだけではなく、可能性を狭めてしまいます。住まいに関する価値観は、人生のライフステージとともに移り変わります。持ち家を買うと、その価値観の変化に伴って住まいを変えることが、なかなかできません。

 例えば私は若い頃、東京の荻窪に住んでいて、周囲の環境がとても気に入っていました。ところが結婚して子供ができると、「路地裏で子供が遊んでいる街」で子育てをしたいと強く思うようになり、根津に引っ越しました。もし私が荻窪で持ち家を買っていたら、そんなことはできません。単純に、自分が「こう生きたい」と思う生き方をできないのは、人生を送る上で大きなストレスになります。

 家族が病気になったり、親の介護が必要になったりした時も、賃貸なら比較的柔軟に生活環境を変更できます。子供のアトピーの転地療養のために家族で郊外に移り住むことも、体が弱った親の近くに戻ることも可能です。ある日、一念発起して海外で働きたい、MBA(経営学修士)を取りに行きたいと決心した時、賃貸ならより迷いなく飛び立つことができます。会社員にとっては、賃貸戦略こそ人生のチャンスを最大限に生かせる選択なんです。

――でも、少なからぬ人は、今も持ち家に憧れ、無理をしてもローンを組もうとします。なぜなんでしょう。

石川:経済合理性とは別の理由があるのだと思います。例えば、子供を育てる上で“故郷”を作ってあげたいと考え、持ち家を求める親御さんがいます。これはこれで一つの考えです。

 そのほか、「自宅を持って初めて人間として一人前」と考える人もいます。これもまた個人の価値観ですから、その強い意志に基づいて持ち家を買うというのであれば、周囲がとやかく口を出す問題ではありません。

――分かりました。持ち家派vs.賃貸派の議論は今後も続いていくと思われますが、賃貸派にとっては心強い話になったと思います。ただ、賃貸派が今後も賃貸戦略を貫く上でどうしても避けて通れない問題もあります。賃貸派は老後の住まいをどうするか、です。

石川:借り続ければいいのではないですか。

――でも、「年を取って無職になると、賃貸住宅が借りにくい」って言われていますよね。

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