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改憲安倍を悩ます「前次官の乱」

6/15(木) 17:00配信

文春オンライン

安倍が思案し続けた言葉

 3年前のある日、首相官邸で安倍と2人だけで意見交換に臨んでいた国交相・太田昭宏が、こう言ったのだ。

「総理は憲法9条を改正したいと考えているのでしょうが、公明党は9条の1項、2項ともに全く手を付けず、別途、自衛隊の存在を明記するのであれば容認できます。でも、そんな案では総理はダメですよね」

 思わぬ発言に安倍は「そんなことはありません。現実に改正できなければ意味がありませんから」と応じた。ただ、太田の提案は「戦力の不保持」を定めた9条2項を改正すべきという安倍の有力支持団体である右派組織「日本会議」の主張や、「国防軍創設」を明記した自民党憲法改正草案を棚上げすることにもなる。何より自分が長年思い描いてきた在り方ではない。

 理想を追うべきか、現実を優先すべきか――安倍はあの日から、太田の言葉を頭の片隅で思案し続けてきた。

 昨夏の参院選後、安倍は周囲に「9条明記なら公明党は受け入れられるんだよね」と何度も口に出すようになった。徐々に腹を固めた安倍は、表明のタイミングを憲法施行70年の節目に当たる憲法記念日と見定めてきた。そして、その方法の1つを日本会議の面々を中心とする改憲派団体の集会でのビデオメッセージとした。これによって、日本会議やその支持者らにとっては「満額回答」とは言えない改憲案を広く了承してもらう形を狙った。

 果たしてその会場では、筋金入りの保守派であるジャーナリストの櫻井よしこが、「これほど明確に、具体的に憲法改正への思いを語ってくれたことに勇気づけられる」と全面的に安倍提案に賛意を示し、会場からも「そうだ」と賛同の声が上がった。安倍が直接、間接に根回ししていたことを物語る。

 この集会に公明党は、党憲法調査会事務局長の遠山清彦を派遣したが、実は今年3月、櫻井から、一連の改憲派集会への出席を要請する手紙が代表の山口那津男宛に届いていた。櫻井が、安倍の現実的改憲案を支持し、公明党を取り込もうと水面下で安倍と連携していたのだ。

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最終更新:6/15(木) 17:00
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