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多国籍化する住民との「言葉の壁」に苦慮する国際都市

6/15(木) 11:10配信

Wedge

 「ついたち、ふつか、みっか、よっか……」。暦を復唱する声が響く教室を覗いてみると、約20人の外国人が日本語を学んでいた。20代の女性が中心で玩具やゲーム機を手にした子連れの生徒も目立つ。

 堺市立殿馬場(とのばば)中学校の夜間学級には全国最大となる200人弱が在籍し、その8割を外国人が占める。6年間は無償で、最長9年間通うことができるが、「長期滞在する外国人に限り入学を許可しており、3年で帰国する技能実習生などは受け入れていない」(山中敏明副校長)という。

 来日22年になる日系ブラジル人の和泉アキエさん(45歳)は、4人の子どもを育て、昼に介護ヘルパーの仕事をしながら通学する。「読み書きできず、子どもが小学校から持ち帰るプリントも理解できなかったので、夜間中学の存在を知り嬉しかった。勉強してヘルパーの資格を取りたい」と意気込む。

 夜間中学は本来、戦争や貧困などの理由で十分な義務教育を受けられなかった国民のための学校である。しかし、時代の変遷とともにその役割は薄れ、今は外国人が日本社会で生きていけるための教育に比重が移っているのが実態である。

 1万2800人の外国人が暮らす堺市には、30年ほど前からボランティアが運営する日本語教室の開設が始まり、現在は14校が点在する。

 市は場所代や教材費など教室の運営費の半額を上限15万円で助成するが、「1回100円の授業料と年会費200円では運営費を賄いきれず、スタッフも年2000円を払っています」と「とが交流会」の向山由彦代表は打ち明ける。それでも、「職場で過酷な労働をしている外国人に、嫌な思い出だけを母国に持ち帰ってほしくない」と遠足やイベントも企画する。

 土曜の夜に開講する「北野田日本語教室」には、GW中にもかかわらず男女10人のスタッフが集まってきた。サラリーマンや教師のOBなどバックグラウンドは様々。生徒の目標や習熟度をスタッフが共有できるように個別カルテを作成する。「上から目線で教えると来なくなるので、寄り添いながらの支援を心がけ、マンツーマンで対応している」(火置敏彦代表)という。

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最終更新:6/15(木) 11:10
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