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トランプ政権の金融制度改革に関する財務省報告

6/15(木) 16:52配信

NRI研究員の時事解説

米国のトランプ大統領が進めるドッド=フランク法(2010年ウォール街改革・消費者保護法、以下「DF法」)の見直しを初めとする金融制度改革が本格的に動き出そうとしている。先日の金融選択法案の議会下院通過(注1)に続き、6月12日には、2月の大統領令(注2)で指示されていた財務長官による制度改革に関する報告書の第一弾が取りまとめられた。

今回の報告書は、銀行や信用組合など預金取扱金融機関に係る規制に関する改革の内容を整理したものであり、今後、(1)清算・決済システムを含む資本市場の制度、(2)アセット・マネジメント及び保険業、リテール向け及び機関投資家向けの投資商品や投資手段、(3)ノン・バンク金融機関、金融テクノロジー、金融イノベーションのそれぞれについても、別途、報告書が取りまとめられる見通しである。

今回の報告書が提言した制度改革の概要は、次の通りである。

1.自己資本規制及び流動性規制の改革

・DF法に基づく半年ごとのストレステスト(資産査定)実施が義務付けられる金融機関の範囲を現行の連結総資産100億ドル超から500億ドル超に引き上げるなど、金融機関の健全性基準規制をより柔軟で金融グループの実態に即したものに改める。
・連邦準備制度理事会(FRB)による金融機関の包括的資本分析及びレビュー(CCAR)の実施サイクルを2年に改めるなど、監督手法の簡素化を図る。
・資本市場の機能を強化する観点からレバレッジ比率規制の計算方法を改める。
・バーゼルIIIなどの国際合意よりも厳しい内容となっている米国内の規制基準を見直す。

2.中小金融機関(community financial institutions)に対する規制の改革

・中小金融機関に関する自己資本比率規制等の規制基準を金融機関の負担軽減の観点から見直して簡素化する。
・地域開発金融機関(CDFI)及び少数民族向け預金金融機関(MDI)が調達できる劣後ローンや自己資本の範囲を拡大する。
・預金保険による保護対象となっている信用組合に対する自己資本規制を緩和する。
・中小金融機関の新規設立、参入を促進する。
・中小金融機関が求められる報告の内容を簡素化し、検査の頻度を引き下げる。

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