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菊池雄星を磨くもの。ウルフとの英会話、今も続ける「野球ノート」

6/15(木) 8:11配信

webスポルティーバ

菊池雄星インタビュー(後編)

 こんな高校生に初めて出会った――。そう思うほど、インパクトのある言葉だった。今から8年前、岩手・花巻東高3年生だった菊池雄星はこんなことを言っていた。

■7年前、メジャースカウトが受けた「高校1年・大谷翔平」の衝撃

「勝てない不調のときこそ、インターネットの掲示板を見ます。掲示板を見て、批判されていることに対して『よしよし、もっと言え』って思っていました。『見るな』という人もいますけど、自分としては見たほうがいい。勝てないときはだいぶ悪く言われましたけど、それがエネルギーになっていましたから」

 すでに全国に名前が知れ渡っていた高校3年の秋だった。菊池は毀誉褒貶(きよほうへん)にさらされた1年を思い起こすように、静かな口調で語った。菊池の内に潜む芯の強さを見たような気がした。

 プロ入り後にインタビューすると、さすがにもうインターネットの掲示板を見ることはないという。プロともなれば、アマチュア時代とは批評される規模が桁外れになる。「自分がコントロールできないことは考えないようにしている」と、成熟したアスリートへの階段を上がっていることがうかがえた。

 それでも、その後もインタビューするたびに菊池が言っていたことがある。それは「僕は『あいつはもう終わった』と言われたこともある選手ですから」という、自虐とも恨み節とも取れる言葉だった。

 プロ入り当初、左肩痛やチーム内のトラブルに巻き込まれ、数々の心ない言葉を浴びてきた。その悔しさ、反骨心はいまだに菊池の根底にあるのだろう。

 プロ8年目を迎えた菊池は、こんな言葉を口にする。

「もう怖いものは何もない。失敗してもいいから、高いものを目指してやっていきます」

 今季は開幕からカード初戦で先発するケースが続いている。相手もエース格をぶつけてくるなか、勝ち星を重ねていくことは容易ではない。それでも、菊池は強い決意でマウンドに登っている。

「僕は涌井さん(秀章/ロッテ)や岸さん(孝之/楽天)のような『あれがエースだ』という存在を見てきていますから。監督、コーチ、選手、ファンを含めて、エースらしいと納得してもらえるピッチングをしないといけないと思っています。そのためには、年間通してローテーションを守って、信頼を勝ち取らないといけない」

 過去7年での年間最長イニングは昨季の143回。勝敗以前に、この程度のイニング数では「エース」と呼ばれることはないと自覚している。

「去年も5試合くらい(ローテーションを)飛ばしているので、投げていれば170~180イニングくらいいったかもしれません。まずはケガをしないこと。その上でローテーションを守り抜くことを考えています」

 毎日、自分の体との対話をした上で、トレーニングや食生活に取り組む。プロ7年間の蓄積を生かせるかは、これから後半戦にかけて菊池の課題になるだろう。

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