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韓国、当然の代表監督解任。愚かだった3年前の決断。シュティーリケと過ごした996日間

6/16(金) 12:07配信

フットボールチャンネル

 韓国代表のウリ・シュティーリケ監督が15日に解任された。ロシアW杯アジア最終予選でグループ最下位のカタールに逆転負けを喫したことが最後の引き金になった。すでにファンやメディアから信頼を失っていた指揮官の、当然の解任。3年前の愚かな決断が深い闇への入口だった。(取材・文:キム・ドンヒョン)

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●シュティーリケ、996日目の解任

 韓国サッカー協会(KFA)は15日午後、韓国パジュにあるナショナルフットボールトレーニングセンター(NFC)で会議を催し、同国代表のウリ・シュティーリケ監督解任を決定した。

 一時期、アジアカップ準優勝で「神様」とまでされていた彼が韓国代表監督に就任し、996日目のことだ。シュティーリケは韓国代表史上最も長い期間監督を務めた人物として記録される。しかし人々の記憶には悲惨な思い出として焼き付けられることになった。

 後味の悪い解任だが、理由は簡単だ。13日に行われたロシアW杯アジア最終予選グループAのカタール戦で黒星を喫したからである。2-3というスコア以上に、最下位チーム相手の内容もお粗末だった。この敗北で韓国の勝ち点は「13」となり、残り2試合に命運を託すこととなった。韓国代表がかつて味わったことのない苦難に違いない。

 しかもこれまで以上に厳しい道のりが予想される。次の相手は現時点でアジア最強のイラン。結局最後のウズベキスタン戦がW杯出場へのカギを握ることになりそうだが、勝てるかは未知数だ。最悪の場合プレーオフにも出場できなくなるかもしれない。

 シュティーリケ監督の進退に関して、一度解任論が高まったこともあった。それでもKFAのチョン・モンギュ会長は留任を決定した。それが今年4月3日だったことを考えれば、今回KFAが下した決定は説得力が薄くなる一方だ。

 4月の時点で世論も、多くのサッカー関係者もシュティーリケ監督に信頼などなかった。もう少し解任の時期を早めていたらカタール戦のあの結果はなかったのかもしれない。

 結局、このタイミングでの解任は韓国にとって不可避だった。これ以上留任するには世論がついてこない。それ故にシュティーリケ監督を任命したKFAや技術委員会全体が批判されていた。「仕方ない」という言葉がふさわしい状況、言い換えれば、窮地だった。世論についた火種を消すべく、KFAはシュティーリケ監督とともにイ・ヨンス技術委員長も更迭した。

●もし時間を3年前に戻していたら…

 シュティーリケ監督が赴任する前、韓国には何人かの名将を招聘するチャンスがあった。2014年8月のことだ。当時、ブラジルW杯での惨敗を受けてホン・ミョンボ監督が退任しており、監督の席は空いていた。

 KFAが最も有力な候補として挙げていたのはオランダ出身のベルト・ファン・マルワイクだった。南アフリカW杯でオランダ代表を準優勝に導いた名将である。その後、欧州選手権での失敗やハンブルガーSVでの不振によりトップレベルから遠ざかっていたものの、確かな実績を誇る。

 実際、韓国代表監督就任に向けて話は着々と進んでいた。ファン・マルワイク自身も「韓国行きを肯定的に検討している」と話し、KFAのイ・ヨンス技術委員長(当時)も「1週間内に結論が出る」と述べるなど、交渉は順調に見えた。

 契約期間は2年+延長オプション2年。ここまでは両者合意に至っていたが、意外なところで交渉は暗礁に乗り上げた。居住地や納税の問題だった。ファン・マルワイクは「オランダに住みながら指揮を執りたい」と申し出た。

 彼の理屈は「韓国代表の中心メンバーはヨーロッパでやっている。私の主戦場はヨーロッパとなる」ということだった。そのうえ「韓国に住まない以上、税金は払えない。KFAが負担するべき」と切り出した。常識的ではない、あまりにも理解できない契約条件に結局交渉は決裂した。

 その後、ファン・マルワイクはその条件を受け入れたサウジアラビア代表の指揮を執り、現在グループBで2位につけている。韓国国内では彼の条件を受け入れるべきだったか、意見が分かれている。「それでも契約するべきだった」という人がいれば、「非常識的な条件を受け入れることはできない」という人もいるのが現状だ。

 筆者は後者に近い。もちろん中東でしか成果のなかったシュティーリケ監督より優秀かもしれないが、あれほど理不尽な条件では話にならない。

●ハリル就任の可能性もあった? 無駄にした3年間、まずはW杯出場を

 他にも報道されていた新監督候補がいたのもファン・マルワイクを蹴ってよかったと考えるひとつの理由である。2014年当時、ホン・ミョンボ監督の後任候補には日韓W杯でトルコを2位に導き、FCソウルでの指導経験もあるシェノル・ギュネシュ氏、 元クロアチア代表のロベルト・プロシネチキ氏、そして現在日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督が挙げられていた。

 ハリルホジッチ監督に関しては、KFAが具体的なオファーを提示したかどうか確認できていない。だが、アルジェリア代表監督としてブラジルW杯で韓国に完勝を収めたうえ、同代表との契約も満了していたため興味を持つのは当然だった。

 しかし、結局監督として招聘されたのはこのたび解任となったドイツ人だった。結果論だが、996日前の選択が韓国を窮地に追い込んだ。3年前、ブラジルW杯での失敗を受け、立て直しのためにしっかりとしたビジョンを持っていたら、という考えが頭から離れない。

 イ・ヨンス技術委員長は退任の弁として「2試合をしっかりとまとめられる韓国人監督に就任してほしい」と語った。後任には7年前の南アフリカW杯で指揮を執り、現在Kリーグ副コミッショナーを務めるホ・ジョンム氏が韓国代表新監督の最有力候補として挙げられている。

 だが、あの時の選択がなかったら、韓国はこの3年間でチーム全体をより強く成長させることができたはずだ。残りの2試合でロシアW杯への切符を勝ち取るのはもちろん大事だが、シュティーリケとともに浪費した996日間が惜しくて惜しくて仕方ない。

(取材・文:キム・ドンヒョン)

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