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フィンランド、循環経済への取り組みが主流に

6/16(金) 21:29配信

オルタナ

フィンランドは循環経済の旗手として、国際的な地位を築いている。グローバル企業も参加して、意欲的なプロジェクトが目立つ。特徴は「廃棄物の有効利用」だ。現在、木材パルプとドーナツを揚げた後の廃油の再利用に注目が集まっている。 (編集・翻訳=笈川一:オルタナ/Sustainable Brands Japan)

フィンランドの製紙・木材製品の総合林産企業UPMは、環境への意欲的な取り組みで国際的な注目を集めている。同社は、持続可能性(サステナビリティ)への優れた取り組みを行うグローバル企業を認定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」において、世界の製紙会社の中で唯一選ばれた。国連「グローバル・コンパクトLEAD」のリーダーシップ・プラットフォームに招待されたのも、森林業界では他に例がない。このたびUPMは、紙やパルプ、合板を製造する際に出る廃棄物や残りカスを有効活用するプロジェクトを立ち上げた。

カウカスのバイオ精製所で、紙パルプを作る際に出る残りカスをバイオディーゼル「UPM BioVerno」に精製する。「UPM BioVerno」はあらゆるディーゼルエンジンに使用可能で、同精製所の年産能力は1億2000万リットルに達するという。UPMによれば、「UPM BioVerno」は二酸化炭素の排出量を最大80%削減する。

UPMの目標は、製造過程で出る廃棄物をくまなく再利用することである。この目標を本国フィンランドの工場で数年以内に、海外支社では2030年までに達成することを目指している。すでに廃棄物の約90%はリサイクルされるという。

ドーナツから循環経済の構築を

一方で、石油精製・マーケティング会社の「ネステ」とフィンランドの製菓製パンメーカーの「ファッツェルベーカリー」は協働し、「ドーナツトリック」キャンペーンを開始した。ファッツェルの「メーデードーナツ」をつくるために使った油から再生可能ディーゼルを精製する。ドーナツ3つ分を揚げるフライヤー油からディーゼルを精製すれば、約1キロメートルの距離を車で移動できるという。

同キャンペーンはフィンランドの循環経済を押し進め、食用油の適正な使用やリサイクルの意識を高めるためでもある。再生可能ディーゼルの利益は、慈善団体「SOS子どもの村インターナショナル」のフィンランド支部に寄付する。

同キャンペーンは、ファッツェルの「メーデードーナツ」の発売に合わせて始まった。ドーナツはフィンランドで最も人気のある食べ物だ。この時期、ファッツェルのドーナツは毎年1600万食もの売り上げを誇る。これはフィンランドの全国民が3食分購入したのと同じ計算となる。

ファッツェルグループの企業責任ディレクター、ニーナ・エロマ氏はこう語る。

「ファッツェルベーカリーは、廃棄物が発生しないよう、量を減らすことを目指しています。この取り組みは、循環経済がどんなものかを具体的に多くの人に知ってもらい、さらに推進するための最良の方法だと考えています」

ネステのサステナビリティディレクターを務めるジョン・ルナバ氏も循環経済の実現に意欲を見せる。

「ドーナツトリックキャンペーンを通し、私たちは廃棄物や残滓(ざんし)が新しい製品にどのように再利用できるのかを実例を示したいのです」

ファッツェルやネステにとって、油の再利用やリサイクルは、初めての試みではない。ファッツェルの使用する油は、これまでにも国内のアスファルトや石鹸の材料に使われてきた。ネステも、クリスマスで余ったハムなど、フィンランドの精肉産業から出た動物脂肪を利用して、再生可能ディーゼルを精製している。ネステの再生可能ディーゼルは100%廃棄物と残滓から作られていて、首都圏をはじめタンペレなど主要都市のガソリンスタンドで入手できる。

「サステナブル・ブランド ジャパン」より転載

最終更新:6/16(金) 21:57
オルタナ

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