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「加害者の違い」が報道の差を生む対テロ戦争の現実。二人のイスラム少女の訴えから学ぶ平和に必要なものとは?

6/16(金) 6:30配信

ダ・ヴィンチニュース

 2014年、パキスタン人の少女、マララ・ユースフザイさんが史上最年少でノーベル平和賞を受賞し、大きな話題となった。彼女は2009年、BBC(英国放送協会)運営のブログに「パキスタン女子学生の日記」を投稿、タリバンを怖れて学校に通えない少女たちの本音を世界に発信していた。日記は大反響を呼んだが、そのせいで彼女はTTP(パキスタン・タリバン運動)から襲撃されてしまう。だが、重傷から回復した後もマララさんは女子教育のために活動を続けた。ノーベル賞は彼女の強い意志と活動を評価してのものだった。

 しかし、マララさんと同じくパキスタン人で、対テロ戦争の被害に遭いながら世界に教育の重要性を訴えかけているにもかかわらず、黙殺されかけた少女がいる。『ナビラとマララ 「対テロ戦争」に巻き込まれた二人の少女』(宮田 律/講談社)は2人の少女の違いを比較しながら、人々の対テロ戦争への見方を変えようとする一冊だ。

 ナビラ・レフマンさんは2012年10月、畑でオクラを摘んでいるときにアメリカのドローンによる爆撃を受けた。武装勢力と間違われての誤爆だった。一緒にいた祖母は死に、自身も傷を負った。ナビラさんはアメリカ議会で自らの被害を公表し、ドローン爆撃を止めるよう訴えることとなった。しかし、公聴会に出席したのは435人の下院議員のうち、たった5人。公聴会自体もほとんど報道されず、世界から注目されることはなかった。マララさんは2013年にホワイトハウスを訪問し、手厚い歓迎を受けてオバマ大統領と面会したにもかかわらず。

 ナビラさんの主張はマララさんと変わらない。先進国が戦争に使う大金を教育に回せば、世界は平和になるという考えだ。テロリストの多くは貧しい家庭でまともな教育を受けずに育った経歴があり、2人の訴えは非常に筋が通っている。ならどうして、ナビラさんとマララさんでこんなにも報道の違いが生まれてしまったのか。

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