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可夢偉、一貴のワンツーでスタート。トヨタ勢が悲願のル・マン優勝へ

6/17(土) 8:20配信

webスポルティーバ

 6月15日、今年で85回目を迎えたル・マン24時間レース(フランス)の予選2、3回目が行なわれ、トヨタ・GAZOOレーシングのTS050 HYBRID7号車(小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)をドライブする小林可夢偉が、3分14秒791の驚異的なラップタイムでポールポジションを獲得した。中嶋一貴のトヨタ8号車(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン)が予選2番手につけ、トヨタ勢が予選フロントローを独占する結果となった。

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 可夢偉がタイムアタックを行なったのは、予選2回目で他のマシンのアクシデントによる赤旗中断が明けた直後のことだった。予選後、可夢偉はその時の様子をこう振り返る。

「路面の状態もよくなってきていたし、コース上を走っているマシンの台数も少なく、アタックするにはこれ以上ないベストのタイミングでした。チームメイトからクルマがいい感じに仕上がっていると聞いていたので、うまくいけば15秒台もいけるかなと思っていましたが・・・・・・。コントロールラインを越えて、無線で14秒台と聞いた時には、さすがに自分でも『ワォ!』と思いましたね」

 予選直後のポールポジション記者会見では、外国メディアからスーパーラップの秘密について聞かれ、「ちょっと近道を見つけたので(笑)」とジョークで答えていた可夢偉。才能を存分に表現できるマシンを得た表情は、まさに“水を得た魚“だった。

 前日の予選1回目で3分18秒793をマークし、暫定トップに立った時も、「別にタイムアタックをしたわけじゃなく、燃料も満タンだし、普通に走ったら出たタイムですから」と、余裕があることを強調していた。予選3回目でのパフォーマンスは、そんな自らの予想も超えるほどの完璧なタイムアタックだったようだ。

 ル・マン用ハイブリッドシステムの開発リーダーを務める、トヨタのGR開発部長でハイブリッドプロジェクトリーダーでもある村田久武氏も、可夢偉のタイムには驚きを隠さない。

「これまで何度も繰り返しているように、本当に大切なのは本番のレースできちんと24時間走り切ることですが、今日の予選で我々のマシンが狙い通りの速さを持っていることが確認できたことは素直に喜びたいと思います。それにしても、3分14秒台というタイムはまったくの想定外。これまで何度もシミュレーションを繰り返してきた可夢偉のアタック、特にセクター3の速さは我々の想定を超えるものでしたね」

 一方、トヨタの8号車は予選3回目開始直後、セバスチャン・ブエミの1周目にパワーユニットの異常を示すアラームが点灯し、いきなりコース上にストップするアクシデントに見舞われる。念のためエンジンをストップし、電気モーターのみのスロー走行でピットに戻ってエンジン交換を行なったため、大幅なタイムロスを喫してしまう。

 エンジン交換後に臨んだ予選3回目で、前日に続いて中嶋一貴がタイムアタックを行なったが、こちらはコース上の遅い車の影響でクリアラップが取れず、3分17秒128を出したものの、可夢偉には及ばず予選2位となった。

 中嶋は「トラフィックの影響で思うようなアタックができず、ちょっと残念ですが、とりあえずポルシェより前ですし、レースに向けたクルマのバランスには満足しています。後は、レースに向けて集中したいと思います」と気持ちを切り替えていた。

 2列目にポルシェの1号車、2号車を挟んで、ル・マン初挑戦となる国本雄資が乗るトヨタ9号車(国本雄資、ニコラス・ラピエール、ホセ・マリア・ロペス)が後に続いた。9号車はフランス人ドライバーのニコラス・ラピエールがタイムアタックを担当して3分18秒625の5番手につけ、フランス・現地時間の17日午後3時(日本時間で同日午後10時)から行なわれる決勝を迎える。

 昨年、ポルシェとの死闘の末に、残りわずか3分でその手から滑り落ちたトヨタの勝利。可夢偉は、「予選のポールポジションは素直に誇りに思いますが、ル・マンは24時間。決勝レースは全く別の話で、レースで勝たなければ意味がない。結果がどうなるかはわかりませんが、目指すはトヨタの1位、2位、3位独占です!」と意気込む。

“悲劇“を過去へと変えるための戦いが間もなく始まる。

川喜田研●取材・文 text by Kawakita Ken

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