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全米OP、松山英樹が一気に優勝争いへ。2日目のヒデキは別人だった

6/17(土) 16:40配信

webスポルティーバ

 2オーバーの82位タイと出遅れ、「最悪です」の言葉を吐き捨てた全米オープン初日のラウンドからおよそ24時間。大草原の中に切り拓かれたエリンヒルズGC(ウィスコンシン州ミルウォーキー近郊)には、まるで別人の松山英樹がいた。

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 とにかくショットが真っ直ぐ飛んだ。同組のリッキー・ファウラー(28歳/アメリカ)はおろか、飛ばし屋の若手ジョン・ラーム(22歳/スペイン)をオーバードライブし続け、フェアウェーをキープし続けた。

 アプローチもピンに絡み、前半だけで6つのバーディーを重ねて、あっという間にリーダーボードに名を連ねた。

 初日に7アンダーをマークし、首位に立ったファウラーに対し、「あれだけ真っ直ぐ飛んで、パターが入れば、それぐらいのスコアは出る」と話していた松山だが、2日目はまさに松山がその状態だった。

「まあ、満足するところはないですけど、しばらく結果が出ていなかったので、今日はよかったと思います」

 メジャー大会のベストスコア「63」も視界に入った後半に入り、11番で約1mのバーディーパットがカップに嫌われると、12番では初めてティーショットがフェアウェーを外れた。セカンドカットからの2打目はグリーンの奥にこぼれ、3打目も寄せきれない。しかし、難しい傾斜を読み切ってパーセーブすると、13番で7つ目のバーディーを奪う(通算5アンダー)。

 予選ラウンド2日間を通じて、エリンヒルズには人気者のファウラーに対する「ヘイ、リッキー!」の声援が木霊(こだま)していたが、猛チャージによってそれが「ヒデッキー!」に聞こえてくるから不思議だ。いや、世界ランク4位で、知名度も高まっている松山に対する声援は、確実に増えていった。

 ノーボギーで回った松山は、この日のベストスコア「65」を叩き出し、トップと2打差の通算5アンダー、8位タイにまでジャンプアップ。まだ2日目を終えた段階だが、早々に2勝を挙げた今シーズン序盤の勢いを失い、2014年に優勝したザ・メモリアル・トーナメント(6月1日~4日)でも45位タイに終わっていた松山が、久しぶりに優勝争いに加わる会心のプレーだった。

 ラウンド後は世界中のメディアをたらい回しにされ、最後に日本の報道陣の前にやってくると、開口一番、「最高です」と前日とは真逆の言葉を口にした。

 前日は宮里藍の父・優さんにパッティング時のグリップに関するアドバイスを受け、パッティングの名手である谷原秀人にも助言をもらった。

「習ってすぐによくなるなら苦労しないんですけど、いろんなアドバイスをいただいて、自分がどうなっているか知るのは大事だと思う。参考にはしますけど、すべてを受け入れるのではなくて、試行錯誤しながらうまく自分のゴルフに取り入れられたら」

 猛チャージを決めたあとでも、松山は松山だ。メジャーの舞台で優勝を争うことに「高揚感はないのか」と訊ねても、しばらく考えたあと、「特にはないです」とにべもない。

 しかし、その視界には、その胸中には、日本人初の快挙に向け、自分自身に期するものがあるはずだ。

 ラウンド後、陽の沈みかけた練習グリーンには、たったひとり、パターを手にし、ひたすら打ち続ける松山の姿があった。

柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji

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