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2万基以上の墓石を調べた研究者 自身が眠りたい墓とは?

6/18(日) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 国内外で2万基以上のお墓を調べた研究者がいる。千葉商科大教授の朽木量氏(47)が語る。

「世間から『墓石を研究している人』と思われるのでしょうが、個人的な信条としては『墓石で研究している人』です。私の専門は、物質文化研究というもので、モノと人との関係性を探ったり、モノから人間の社会や生活を読み解くというものです。お墓を通して日本人の文化や、社会、歴史などが見えてくる。墓石ほど情報量が豊富なものはなかなかない。それが長く調べている一番の理由だと思います」

 朽木氏は墓石の研究は学部の3年生から始め、27年見続けている。墓石研究を紹介するDVDを作り自ら出演している。日本人の墓石を調べるためには海外にも飛ぶ。

「博士1年の頃に、『ニュー・カレドニア島の日本人』という本に載っていた墓石の写真を見て衝撃を受け、その足で生協に行って貯金を全部使ってチケットを購入し、現地に行きました。

 何が面白いのかというとその墓石には『釋(しゃく) 日本人之墓』とあった。日本からの移民たちが建てたものと考えられるけれど『釋~~』というのは、浄土真宗の戒名(法名)なんです。なぜ法名の一部がついているのか、気になって止まらなくなった」

 墓にあった戒名から“移民は浄土真宗が盛んだった地域出身者が多かった”といったことが浮かび上がるのだという。

 最近では弘前大による北海道の松前藩の墓約6000基を全て調べるプロジェクトにも加わった。墓石に興味を持つ研究者が集まって、2週間もの間、毎晩墓石談義に花を咲かせ、「こんな楽しい調査はなかった」という。

 そんな朽木教授自身が入りたい墓は「江戸時代にオーソドックスだった櫛形(頭部が弧状の石塔形式)の墓です」とのこと。研究対象としていちばん親しんだ墓の中で眠りたい──というのがその理由だという。

※週刊ポスト2017年6月23日号