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AIが犯罪を解決する日は近い!?欧州で開発が進む捜査システム「VALCRI」

6/18(日) 8:11配信

@DIME

ついにAIが犯罪を解決する時代が来た。欧州で開発されているコンピューターシステム「VALCRI」は、最新の機械学習技術を用いて警察の記録や犯罪現場の写真などのビッグデータを分析し、数秒で犯罪アナリストの仕事の大部分をやってのけ、犯罪の解決のみならず防止にも貢献してくれる。

【写真】AIが犯罪を解決する日は近い!?欧州で開発が進む捜査システム「VALCRI」

英科学誌 New Scientistによれば、英ミドルセックス大学でこのプロジェクトを率いるWilliam Wong氏は、「犯罪捜査は点と点を結びつけることだと思われているが、難しいのは、どの点を接続する必要があるかを調べることだ」と語っている。数百万もの警察記録、インタビュー、写真、動画などをスキャンし、関連性を特定する半自動化されたシステムVALCRIは、人間が見逃しがちな「点と点の接続」の発見に役立つ。

歴史上最も壊滅的な犯罪は、犯罪防止システムにおける想像力の欠如のスキを突かれたものが多い。2001年のアメリカ同時多発テロ事件の報告書には、アメリカの 「最も重大な失敗は想像力の欠如」と記されている。 VALCRIはこの問題に正面から取り組むものだ。

洞察力、想像力を発揮させるため、流動的かつ精密なアプローチを通し、見過ごされている多くの要素を検討する権限をアナリストに与えるのがVALCRIの役割だ。 新しい視点から見える代替ルートを検討することで、あらゆる手段を講ずる可能性が開かれる。

VALCRIは、刑事司法の専門家、米テンプル大学のJerry Ratcliffe教授が知的指向の警察の未来として描く青写真に沿って進められるプロジェクトだ。 犯罪捜査機関の証拠収集プロセスを、犯罪分析の体系的、行動的評価と統合し、犯罪の阻止および捜査に役立てる。

しかし犯罪解決をAIに丸投げするものではない。「犯罪事件のデータだけでは判断には十分ではなく、VALCRIもその例に漏れない」とミドルセックス大学で開発に携わるIfan Shepherd氏は述べている。 「人間のアナリストが常に采配を振るう必要がある」

単にデータのやりとりに焦点を当てるのではなく、アナリストの思考と推論を奨励するシステムでなければならない。また機械学習により、さまざまな基準の重要度を調整するアナリストとのやりとりに基づいて、検索機能が改善されるように設計されている。

いわばVALCRIは名探偵シャーロック・ホームズを補佐する有能なアシスタント、ワトスン博士のような存在。

未解決の犯罪ファイルが机上に置かれて真っ先にやるべきことは、警察のデータベースで関連する可能性のある事件を検索し、関係者全員の詳細情報を収集することだ。 Kodagoda氏によれば「経験豊富なアナリストがこのような情報をすべて収集し、手動で簡単に消化可能な形にするには、73回もの個別検索を要する」のに対し、VALCRIならワンクリックでやってくれる。

側注や説明だらけの警察の報告書でも、VALCRIのアルゴリズムは何が書かれているかを基本レベルで理解することができる。ここでも機械学習が機能し、過去の犯罪プロファイリングや歴史的犯罪データに追加される新たなデータに対し、最適化と検索機能の改善が継続的に行われる。

また、情報の明確な視覚化もVALCRIの重要な機能の一つ。人は視覚情報を単語のみの情報の6万倍の速度で処理できる。そのため、VALCRIのインターフェイスでは、データをすばやく効果的に検索するのに役立つインタラクティブな視覚化表示が開発されている。

犯罪アナリストは、大型タッチスクリーンにグラフィカル表示された分析結果を見ながら意見交換できるようになっている。推論プロセスやその他の要素について、データやアルゴリズムと対話したり、直接操作したりしながら閲覧できる。さまざまな視点の提示と議論を促進するだけでなく、仮定に疑問を投げかけたり、代わりの推論戦略を作成したり、さらに調査が必要な分野を見つけ出すのに効果的だ。

さらに、あらゆる段階から結論に至ることも、時空間の再構成を用いて犯罪事象を再現することさえできる。情報の視覚化が捜査方法をはるかに具体的なものとする。

英国のウェスト・ミッドランズ警察は現在、 匿名化した実在の3年分のデータおよそ650万点の記録に対してVALCRIをテストしている。ベルギーのアントワープの警察も、システムを試行している。

次の段階は、犯罪が発生した場合に、匿名化されていない新しいデータに対してVALCRIを適用してみることだ。原則的に合意はあるが、最終的に許可するのは微妙なプロセスとなる。捜査に使用される警察の手法は裁判所で争われる可能性があるため、VALCRIの早すぎる、または誤った導入は、事件を崩壊させる恐れがある。また、警察のデータの使用方法については、国によって法律が異なる問題がある。

人間が采配を振るっていても、すべてが解決されるわけではない。米ジョージア工科大学のMark Riedl 氏は「機械学習は警察に役立つが、新たな偏りももたらすだろう」と警告する。

VALCRIはプロセス全体を透明にすることで、この問題を解決しようと試みている。結果は隠されることはなく、すべての決定は元に戻せる。米ユタ大学のMichael Young氏は「陪審員に委ねられるケースがますます増えるだろうが、法廷で弁護と検察双方の憶測をより透明にするのに使える」と述べている。

欧州でテロ犯罪が相次ぐ昨今、欧州委員会が資金援助する大規模なプロジェクトが1日も早く威力を発揮することが期待されている。

文/三崎由美子

@DIME編集部

最終更新:6/18(日) 8:11
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