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【インタビュー】日本人選手に足りないのはヘディングとシュートの技術

6/18(日) 13:05配信

footballista

INTERVIEW with
Lars RICKEN
ラース・リッケン(ドルトムント育成コーディネーター)


7月15日、2年ぶりに来日を果たし「明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017」で浦和レッズと対戦するドルトムント。その来日に先がけて日本を訪れ、視察や会見出席など精力的に活動をこなした育成コーディネーターのラース・リッケンが、多忙を極める日程の合間を縫ってインタビューに応じてくれた。現役時代はドルトムント一筋のキャリアを送り、引退後はユース選手たちの育成に携わるドルトムントのレジェンドに、日本の印象や現在の役職、育成者の視点から見た日本人選手の印象などについて語ってもらった。



インタビュー・文 久保佑一郎(footballista編集部)



――7月、日本で浦和レッズと対戦することが決まりました。まずは率直なお気持ちを聞かせてください。

「非常にうれしく思っています。日本にはたくさんのドルトムントファンがいて、SNSのフォロワー数ももの凄く多いですから、今回のツアーはそんなファンの方々と交流を深められるいい機会だと思っています」


――ドルトムントは2年前にも来日しています。ビッグクラブが日本を訪れる機会が少なくなっている中で、それだけ日本を重要視してくれていることの表れだと考えてもいいのでしょうか?

「その通りです。(日本人の)香川真司が所属しているというのも理由の一つとしてはあります。ですが、彼が一度クラブを離れた後でも多くのファンが我われドルトムントについてきてくれました。そんなファンのみなさんと交流を深めるのはとても大事なことだと思っています。マーケティング的な側面から見ても、5つ日系企業がドルトムントをサポートしてくれています。日本とドルトムントの関係はとても深いですよ」


――あなたご自身にとって、日本の印象はいかがですか?

「4回目の来日となりますが、街は来るたびに発展していて非常に驚かされる一方で、街を出てみると緑が多く自然豊かな面もあり、みなさん礼儀正しいと来るたびに感じています」


――日本人サッカー選手についてはどんな印象を抱いていますか?

「まず、メンタリティがドイツ人と日本人は非常に近いと思います。規律正しいサッカーを行うことと、ネバーギブアップの精神で決してあきらめない部分ですね。その上で、テクニックに優れているところや素早さ、スピードがあるところが日本人選手の特長だと思っています。一方で、問題が2つあります。一つは、ドイツの選手に比べてヘディングが得意ではありません。そしてもう一つ、香川は例外ですが、テクニックでもシュートに関する技術が足りないと感じます。ただ、ケガをしない、ケガに強いというのはストロングポイントですし、2部を含め多くの選手がプレーしているドイツに限らず、欧州サッカーマーケットの中で非常に重要な存在だと感じています」


――元ドルトムントの丸岡満選手が帰国後のインタビューで「日本とドイツの守備の仕方の違いに苦しんでいる」と答えていたのですが、日本人選手の守備能力についてはどのように見られていますか?

「香川や丸岡はいずれも攻撃的な選手ですし、ドルトムントというチーム自体が勝つ時には8-4で勝つような攻撃的なサッカーを志向しています。ですから、そこまで気になるようなことはありませんでした」


――現在はクラブの育成コーディネーターを務められているとのことですが、どんな仕事しているのか聞かせてもらいますか?

「主な仕事はその名の通りユース選手の育成になります。ただ、時間を割いて作業しているのは契約業務ですね。有望な選手には15歳になるともう代理人がついています。ドルトムントは近くに有力なクラブがたくさんありますので、そこにいる選手と交渉したりするのは大変な作業です。また、15歳の選手は3年スパンで見て、18歳になったらトップチームに上れるかどうか判断したりもしています」


――ドルトムントはトップチームも若い選手の獲得に力を入れています。その交渉に関わることはないのでしょうか?

「ユースチームとトップチームは非常に近い関係にあり、連動して動いています。あるプレーヤーと契約する際にはトップチームの監督をはじめスポーツディレクターのミヒャエル・ツォルク、チーフスカウトやU-19チームのコーチが集まって話し合いを持つのですが、そこに私も参加しています。また、こうしたミーティングが月に1回行われています」


――2年前に監督がユルゲン・クロップからトーマス・トゥヘルに変わりトップチームのプレースタイルに変化がありましたが、監督が代わるとユースの育成方針にも変化があるものなのでしょうか?

「監督が変わりましたが、それによって育成のコンセプトやトレーニングの内容が変わったということはありません」


――以前、ドイツ人選手と言えば屈強なイメージでしたが、最近は技術に優れた選手が増えてきました。ユース世代の指導はどう変わってきたのでしょうか?

「インフラの整備が進んだことはまず挙げられますね。現在では天然芝と人工芝のグランドがそれぞれ設置されていますし、『フットボーナウト』のような機器によって効率的な練習ができるようになりました。また、コーチの育成に関して今では5年の研修が義務づけられるようになり、(ライセンスの)取得が難しくなった分、質が高まったのも大きいですね。さらに、ユースコンペティションの充実も選手のレベルの向上に寄与しています」


――育成部門に関わっている立場から、将来香川選手のようにドルトムントでのプレーを夢見ている日本のユース選手たちにアドバイスをお願いします。

「まずはサッカーをプレーするというのは素晴らしいことですから、サッカーに対する情熱や愛を大切にしてください。それと同時に大事になるのが、一つひとつのプレーや試合に一生懸命に打ち込むこと。それによって上を目指す、何かを成し遂げる勝者のメンタリティを身につけることができるのです」

最終更新:6/18(日) 13:05
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