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ホテル編 | 業界トレンドNEWS

6/19(月) 10:00配信

就職ジャーナル

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ホテル編

■ 客室稼働率が高く業界は活況だが、競争も激化傾向。訪日外国人取り込みに注力するホテルが多い

ホテルは立地と価格帯によって、都市部にあり高価格帯の「シティホテル」、都市部にあり中~低価格帯の「ビジネスホテル」、観光地にある「リゾートホテル」の3つに大別される。ほかにも、都市部にありながらプールなどのリゾート施設を持つ「アーバンリゾートホテル」などもあり、最近ではそれぞれの垣根が曖昧になってきている。なお、和室の割合が一定数以上ある宿泊施設は「旅館」に分類される。国内企業としては、シティホテルを中心に展開する帝国ホテル、ホテルオークラ、ニューオータニ、ビジネスホテル中心の東横イン、ルートインジャパン、アパホテル、リゾートホテル中心の星野リゾートなどが広く知られる。また、外資系企業としては、ヒルトン・ホテルズ・コーポレーション、マリオット・インターナショナルなどが代表格だ。

 

観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、2016年の国内の延べ宿泊者数は4億9418万人泊。外国人宿泊者数は前年より8.0パーセント増えて過去最高の7088万人泊に達したが、日本人宿泊者数が3.5パーセント減の4億2330万泊にとどまったため、全体としては、過去最高となった2015年(5億408万人泊)より2.0パーセント減った。ただし、業界は引き続き活況だ。2016年の客室稼働率は、シティホテルが78.7パーセント、ビジネスホテルが74.4パーセント、リゾートホテルが57.3パーセントを記録。このうち、ビジネスホテルとリゾートホテルは過去最高の数値となった。これに対し、旅館は37.9パーセントとやや低迷している。また、客室稼働率は地域によって差が大きい。大阪府が84.1パーセント、東京都が79.4パーセントなどのように高稼働率を維持する地域がある半面、50パーセントに満たない県も11あった。

 

都市部を中心にした宿泊需要の高まりを背景に、ホテルの新規開業が相次いでいる。特に目立つのが、急増中の訪日外国人をターゲットにした外資系ホテルの日本進出だ。ここ数年では、アマン東京(2014年12月開業)、フォーシーズンズホテル京都(2016年10月開業)、コンラッド大阪(2017年6月開業)などが、東京や大阪、京都といった外国人の多い立地に続々と進出した。今後も京都、奈良、沖縄県の石垣島、北海道のニセコなどで外資系ホテルが建設される見込みで、競争はますます激しくなりそうだ。

 

ビジネスホテルの分野でも、アパホテルなどの大手チェーンが新規ホテルの開業を進めており、競争が激化している。さらに、近年では「じゃらん」などオンライン予約サイトを経由した予約が一般的になりつつあり、ホテルの宿泊料金が簡単に比較できるようになった。そのため、サービス内容より価格面が重視されやすいビジネスホテルにとって、値下げ圧力が高まっていると言える。さらに、今後は「民泊」(下記キーワード参照)が増加すると予測され、価格競争はさらに進む可能性が高そうだ。

 

こうした中、各ホテルは宿泊客の獲得に向けてさまざまな取り組みを行っている。まず注目されているのが、増え続ける訪日外国人を取り込もうとする動きだ。例えばグランドプリンスホテル高輪は、旅館風の客室エリアを設け、日本庭園の散策や日本文化の体験といった日本文化を織り交ぜたサービスを提供。このように、「和」の要素を取り入れた内装・サービスの提供を目指すホテルは少なくない。また、Wi-Fiの整備をはじめとするハード面を充実させたり、グループ旅行者向けにシングルルームを減らしてファミリータイプの客室を増やしたりする試みも盛んだ。

 

「進化型」のカプセルホテルにも注目が集まっている。以前は、料金が安い代わりに、狭くて快適性に劣るというイメージが強かった。しかし最近では、スペースが以前より広い「キャビンタイプ」と呼ばれる個室を持つカプセルホテルが相次いで開業。また、女性専用のカプセルホテルや、バーやレストラン、本格的な入浴施設を設けた高付加価値型のカプセルホテルも登場しており、快適かつ安価に宿泊したい利用者層にとって新たな選択肢となりつつある。

 

■ ホテル業界志望者が知っておきたいキーワード

民泊
旅行者が一般の民家に宿泊すること。海外では、インターネットの仲介サイトなどを通じ、一般の人が自宅の一室や所有する部屋などを貸し出すビジネスが広まっている。日本でも法律の整備が進んで民泊が広がれば、ホテルにとってかなりの脅威になるかもしれない。

宴会・飲食部門の重要性
国内ホテルの特徴の一つが、結婚式などのサービスを提供する宴会部門や、レストランなどの飲食部門から得られる売上高が大きいこと。特にシティホテルの中には、複数のレストランと宴会場・結婚式場などを保有し、そこから宿泊部門以上の利益を得ているところが少なくない。一方、外資系ホテルでは宴会・飲食部門の規模が比較的小さいことが多い。

ハラル認証
イスラム教の戒律に従って食品を製造したことを証明するもの。インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピンといったイスラム教徒の多い国から日本を訪れる旅行者が増えているのに対応し、ホテルのレストランがハラル認証を取得するケースもある。

■ このニュースだけは要チェック<「民泊」に関する動きに注目しておきたい>

・政府が、民泊の営業基準を定めた「住宅宿泊事業法案」を閣議決定した。民泊サービスを提供する家主に届け出を義務づける、法令違反した家主に罰則規定を設けるなどの対策を行い、民泊をより参入・利用しやすいものにする方針だ。(2017年3月10日)

 

・国土交通省が地方自治体に対し、宿泊施設の容積率を緩和する方針を通知。同じ敷地面積に、これまでより大きなホテルを建てられるようになった。多くの客室を備えたホテルが開業できるようになったことで、都市部を中心としたホテルの混雑が緩和される可能性がある。(2016年6月14日)

 

■ この業界とも深いつながりが<レジャー施設や旅行会社と協力する機会が多い>

レジャー施設
レジャー施設や旅行会社などと協力して、訪日外国人向けの施策を実施

IT(情報システム系)
宿泊客の増加を目指し、IT企業と協働して使いやすい予約サイトを構築する

外食
シティホテルにとって館内レストランから得られる売り上げは大きな収入源

 

■ この業界の指南役

日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 関西コンサルティンググループ コンサルタント
木下直紀氏

東京大学法学部卒業。大学卒業後、大手都市銀行を経て現職。民間企業向けの事業戦略策定、業務プロセス改革、組織風土変革等の調査・コンサルティング業務に従事している。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/千野エー

最終更新:6/19(月) 10:00
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