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為替市場がテールリスクに敏感になってしまった理由

6/19(月) 17:00配信

マネーポストWEB

 為替市場は欧州や北朝鮮情勢のリスクが後退したことでリスクオンの状態になった。為替のスペシャリストで酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表の酒匂隆雄氏が今後の見通しについて解説する。

 * * *
 これまでの為替市場は「テールリスク」に過敏だったと思われる。そもそも、テールリスクとは、「起きる可能性は非常に低いものの、起きた場合はマーケットに多大な影響を与えるリスク」のことだ。

 5月の仏大統領選挙と米朝の軍事衝突もテールリスクといえるが、マーケットはその可能性を実際のレートにかなり織り込んでいた。

 例えば、第1回目の仏大統領選挙の投票は、事前の世論調査も選挙結果も完全に予想通りの結果だったにも関わらず、ユーロは主要通貨に対して大きく値を下げていき、結果判明と同時に大きく戻した。

 北朝鮮情勢も、マーケットでは核実験の可能性を織り込む動きがみられたが、隣国の韓国では特段、警戒が高まることはなかったといっていい。

 なぜ、マーケットが、従来であればその可能性を強く織り込むようなことがないリスクで動いたのか? 

 やはり、昨年、起きるはずがないと思われていた英国の「ブリグジット」(英国のEU離脱)や、米大統領選挙でのトランプ氏の勝利が影響しているのだろう。このふたつが現実に起きてしまったことで、テールリスクに過敏になってしまったと思われる。

 ただ、すでに今年の政治および地政学リスクのピークは過ぎたとみられることから、目先の為替相場の基調は、リスクオンのドル高・円安傾向となるだろう。

 具体的なドル円のレンジとしては、105~120円を想定している。今年前半のレンジは108~119円だった。マーケットが政治・地政学リスクに過敏だったことを考慮すると、新たなテールリスクが登場しない限りは105~120円に収まるのではないだろうか。

 ここで一つ付け加えると、これは比較的珍しい現象といえるが、最近、米ドル円とユーロ円や豪ドル円といったクロス円、さらにユーロ米ドルといったチャートが、揃って同じような形状になってきている。

 おそらく、各国の金利や景気動向より、「リスクオンかリスクオフなのか」といったことがクローズアップされてきた結果、マーケットが単純化しているのではないか。

 こういうときは、クロス円のトレードをする意味は薄く、米ドル円中心のトレードでよいと思う。マーケットの材料が分かりやすく、ポジションの管理などもしやすいからだ。

※マネーポスト2017年夏号

最終更新:6/19(月) 17:44
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