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民泊解禁で農村は推進、都市では監視 北海道に地域差

6/19(月) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 北海道は一般住宅に旅行者を有料で宿泊させる民泊解禁を踏まえて、道内の農山漁村など地方を軸に誘客する。年内にまとめる民泊のあり方に関する最終報告に盛り込む。人口減が進む地方で、市町村に空き家の活用も促しながら、地域の文化や暮らしを体験してもらい交流人口の拡大をめざす。一方で札幌市など都市部は近隣住民から苦情が多いことから指導監督を強化する。
 民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法が6月9日午前の参院本会議で可決、成立した。年間営業日数の上限は180泊で、地方自治体が条例で短縮できる規定も盛り込まれた。早ければ2018年1月に施行される予定。これを踏まえて北海道は年内に対応方針を策定する。
 方針案は地方を対象とした「ふれあい民泊」と、都市部の「まちなか民宿」の2タイプを設定。このうち地方はホームステイなどで農山漁村に滞在する仕組みを想定し、ホストファミリーとの交流や文化・暮らし体験などを売りにする。主要観光地だけでなく様々な地域に足を運んでもらう狙いだ。
 ただし地方では宿泊客を受け入れる宿泊施設などが不足している課題がある。このため道内で急増する空き家の活用も進める。
 道は2016年度に知内、鷹栖、本別の3町をモデル市町村に選定。建築や法律の専門家らを派遣し、空き家を民泊施設や子育て世帯向け住宅に転用できるよう支援してきた。17年度は新たに3カ所程度を選んで、取り組みを全道に広げる。
 道によると、道内で農業体験などができる農家民宿・民泊の施設数は15年度に1193件で、調査を始めた12年度から3割以上増えた。
 一方、札幌市など都市部の民泊はルール整備などを優先する。マンションなどの部屋を提供する場合、道や保健所の許可が必要なうえ、マンション管理規約に抵触しないことが利用条件となる。道は「新たに事業主となる人に対するマニュアルの作成なども検討したい」(政策局)と指導監督を徹底する考えだ。
 すでに札幌市は違法民泊の取り締まり強化に動いている。2月に「民泊サービス通報窓口」を設置。4月からは取り締まりの担当職員を増員するなど体制を強化した。
 市によると、通報窓口開設後の2カ月間で騒音やごみ出しに関する苦情など56件の相談が寄せられ、このうち53件は旅館業法に基づく許可を得ていなかった。是正指導で違法な13施設の営業を中止させた。「通報窓口の開設で、具体的な建物や部屋などの情報が集まりやすくなった」(環境衛生課)という。
 民泊仲介の米エアビーアンドビーに登録されている市内の施設約1000件のうち、約9割が無許可営業の疑いがある。施設の住所が掲載されていないケースも多い。市は「取り締まり強化には市民からの情報が不可欠」と通報窓口の活用を促すが、どこまで効果が出るかは不透明だ。
 民泊解禁に道内のホテル・旅館は戦々恐々としている。日本旅館協会北海道支部連合会は「(解禁は)脅威に感じている。全国的な動きを調査したうえで対応を練る必要がある」と不安を隠さない。
[日本経済新聞朝刊2017年5月18日付を再構成]

最終更新:6/19(月) 7:47
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