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北朝鮮ミサイル問題 金正恩体制崩壊させる以外解決策ナシ

6/19(月) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 毎年3月から4月にかけて米韓合同軍事演習が繰り替えされているが、今年はトランプ新大統領の登場によって、メディアは“北朝鮮危機”を大々的に報じた。第2次朝鮮戦争が勃発すれば、在日米軍基地を狙って、弾道ミサイルが日本に向けて発射される可能性は高まるが、平時に北朝鮮が日本の原発や都市にミサイルを発射することはないだろう。

 5月14日、北朝鮮は新型中距離弾道ミサイル「火星12号」の発射実験を行ったが、すでに実戦配備されている北朝鮮の弾道ミサイルは、韓国向けの「スカッド」(射程600km)、その射程を延長した日韓向けの「スカッドER」(1000km)、そして日本向けの「ノドン」(1300km)の3種類だけである。

 米韓軍の発表によれば、北朝鮮はスカッドを600発、ノドンを300発を保有し、そのTEL(発射台兼用の運搬車輛)は、それぞれ50台と40台といわれている(スカッドERについては不明)。

 北朝鮮は朝鮮戦争の教訓をふまえ、1960年代に軍事施設の「地下化」に取り組み、ミサイル基地も山中に建設している。それらの地下基地の入口は偵察衛星によって把握されており、もし開戦となれば、現在の精密誘導技術によって入口は米軍機によって爆撃され、地下ミサイル基地はそのまま“棺桶”になることだろう。もちろん、日本への攻撃を完全に封じ込めるには、すべての地下ミサイル基地を把握していることが大前提となる。

 北朝鮮がすでに実戦配備している弾道ミサイルは全て液体燃料であるが、現在、北朝鮮は固体燃料エンジンの開発に取り組んでいる。昨年のSLBM(潜水艦搭載弾道ミサイル)「北極星」試射の成功に続いて、今年2月に地上発射型の弾道ミサイル「北極星2号」の打ち上げに成功したが、この北極星シリーズは固体燃料である。

  液体燃料の場合、発射直前に燃料を注入しなければならず、燃料車や電源車など発射部隊による作業時間が必要であるため、即応性に欠ける。しかし、固体燃料であれば常時装填済みなので、TEL単独での移動が可能で、発射命令と同時に発射できる。金正恩は固体燃料のICBM(大陸間弾道ミサイル)を開発しているが、日韓向けの液体燃料エンジンを固体燃料に換装させる可能性は低く、固体燃料問題は日本に影響を与えるものではない。

 1994年の米クリントン政権時代の「第1次核危機」ではできなかったピンポイント攻撃が、今では可能になっているが、限定空爆などによって金正恩の核・ミサイル開発の意志を放棄させることは不可能であることだけは疑いなく、金正恩体制を崩壊させる以外に方法はないと考えられる。

文■惠谷治

※SAPIO2017年7月号