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「付加価値=足し算」という勘違い 引くことでこそ価値が生まれる

6/19(月) 19:12配信

日経BizGate

隣の芝生は青く見える

 商品の増加、機能の増加、情報の増加、そして社会の複雑化......。現代は放っておけば、何もかもが増えていく「足し算社会」だ。いつの間にか、足し算が進み、身動きがとれなくなってしまう。機能疲労、情報疲労で、シンプルな商品や生活スタイルにひかれる消費者が増加している。

 数を競う社会は終焉した。商品、機能、情報の「引き算」が価値になる時代が来ている。にもかかわらず、多くの企業は足し算を続けている。なぜ、足し算企業がこれほどまでに多いのか? なぜ、企業は足し算に陥ってしまうのだろうか?

 次の質問に答えてほしい。

Q あなたは、自分自身について、下記のA、Bのどちらに目が行くことが多いですか?

[ A ]自分が持っているもの、自分が持っている能力
[ B ]自分に足りないもの、自分に足りない能力

 全国消費者1000人調査の結果は以下のとおりだ。

[ A ]30.5%
[ B ]69.5%

 7割の回答者は、「自分に足りないもの、自分に足りない能力」に目が行くと答えている。では、次の質問はどうだろう。

Q あなたは、友人について、下記のA、Bのどちらに目が行くことが多いですか?

[ A ]友人が持っているもの、友人が持っている能力
[ B ]友人に足りないもの、友人に足りない能力

 結果は以下のとおりだ。

[ A ]81.9%
[ B ]18.1%

 圧倒的に多くが、「友人が持っているもの、友人が持っている能力」に目が行くと回答している。

 ここで、この2つの質問の回答結果をクロス集計してみよう。突出して多いのが、「自分に不足しているものが気になり、友人が持っているものに目が行く」と回答する人である(全体の57.8%)。まさに、「隣の芝生は青く見える」ということだ。人は、自分が「持っているもの」ではなく、自分に「足りないもの」に価値を見出してしまう。

 企業も、人の集まりである。同様の発想に陥りがちだ。ライバルを研究して同じことをやろうとしたり、ある企業が成功すると「当社もやらねば」と追随する。競争相手に対抗するために、次々と商品や機能を「足し算」していく。

 人も企業も、自らの「引力」を高めるためには、この心理的傾向の逆を行く必要がある。つまり、「自分が持っていて、友人が持っていないもの」に着目することだ。

 「ないものねだり」で競争相手の真似をしても勝ち目はない。ライバルに遅れをとりたくなければ、ライバルと違うことをすべきである。自社にあるものでしか、他社との違いを出すことはできない。大切なものは自分の足元にあるのである。「隣の芝生」は決して青くない。他人には、あなたの芝生が青く見えているかもしれない。自分の芝生をもっと青くすることに力を集中すべきだろう。

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最終更新:6/19(月) 19:12
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