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タカタの民事再生法申請から倒産処理法を考える --- 荘司 雅彦

6/19(月) 16:53配信

アゴラ

タカタが民事再生法の適用申請をすると報じられました。これを機に、企業の倒産処理について整理しておきたいと思います。

「倒産」という法律用語はありません。一般には、手形不渡りによって銀行取引停止処分がなされると「倒産」と呼ぶことが多いようです。

会社が膨大な債務を抱えて困窮状態に陥った場合、まず「任意整理」と「法的整理」のいずれをとるかを決める必要があります。

任意整理とは裁判所が一切関与しない手続で、多くの倒産処理で活用されいる方法です。手続が簡便であるので時間もあまりかからず費用も安く済むというメリットがあります。反面、任意であるため反対する債権者には無力であり、裁判所の監督がないため不正が行われる怖れがあります。

法的整理の中には、清算型と再建型の手続があります。

清算型の法的整理には破産と特別清算の二種類があります。いずれも、会社財産を換価処分して債権者に配当して会社の事業は解体となります。会社財産といっても換価処分すれば二束三文なので、(抵当権を設定している銀行等を除く)一般債権者は全く配当がもらえないことも多々あります。

再建型の法的整理には、民事再生と会社更生があります。当初は、民事再生法は中小規模の会社や個人を対象とし、会社更生法は大企業を対象にするものと想定されていましたが、使い勝手の良さから大企業の大型倒産でも民事再生法適用申請がなされるようになっています。

民事再生法の場合、経営者や株主構成の変更の必要はありません。

経営者はそのまま経営を継続できるし、株式の上場廃止を免れたケースも過去にはあります(もっとも、このケースではDESという手法が活用された特殊なケースです)。

タカタの場合、任意整理でいくか法的整理でいくかで創業家と取引先が対立していたと報じられています。

先述したように、任意整理は反対債権者に対しては無力です。法的整理のように、多数決で反対債権者の債務の減免等を強制的に決めることはできませんから。一般に、債権者が多数存在して収集がつかないような場合は任意整理に向かないと言われています。

タカタが敢えて法的整理である民事再生に踏み切った理由について、今の私にはわからないので続報を待つしかありません。大口債権者である大手自動車メーカーの間で意見対立があったのか、それとも創業家の持ち株を上場廃止にして経営責任を取らせることが目的だったのか…。

いずれにしても、事業継続が前提の手続なので、いきなり部品供給が止まってしまうという事態には陥らないでしょう。

もっとも、過去に民事再生を申請した会社の多くが再生できずに清算解体となったことを斟酌すると、決して楽観視することはできません。タカタの場合、将来的に多額の債務の発生が示唆されている点が、個人的には一番気がかりなところです。


編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログ(http://ameblo.jp/masahiko-shoji/)をご覧ください。

荘司 雅彦

最終更新:6/19(月) 16:53
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