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中国農村に「ロミオとジュリエット」が大量に出現?

6/19(月) 6:15配信

JBpress

 先月、中国福建省を舞台とする興味深いニュースが報じられた。水利をめぐって数百年にわたり対立していた同省南安市郊外の梧山村と月埔村が歴史的な和解を実現し、それまで駆け落ち同然で地元を離れていた両村の出身の男女が晴れて結婚を認められたというニュースである。AFP通信の日本語版(「300年の争い終わらせた中国版ロミオとジュリエット」)が報じているので、ご覧になった方もおられるかもしれない。

 もっとも、上記の記事は片方の村の共産党委員会のトップの話しか載せていないので、本件について中国国内における他の関連報道も紹介しておこう

 まずは『北京青年報』が報じた、両村の村人の証言の大意訳である。ちなみに梧山村の証言者の姓が「王」ばかりなのは、この村の住民の大部分が王さん一族だからだ(対して月埔村の大部分は傅さん一族であるらしい)。

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 「とにかくガキのころから『大きくなって嫁を探すときには、なにがあっても月埔村の娘だけはやめろ』と両親に言われていてね。なぜなのか尋ねたりはしなかったのだが、とにかく周囲の親戚も友だちもみんなそう言っていたんだ」
──梧山村で通信用品ショップを経営する王権有さん(仮名 36歳)

 「年寄りたちはみんな、恨みができたのは清朝のころで、200年以上昔だって言っている。当時、山から流れてくる水の灌漑をめぐって(梧山村と)衝突があったらしい。そのあとで、互いの村は決して通婚しないことと、もし通婚したら呪いを受けるということが取り決められたと言うんだ。まあ、本当にそういう事情なのか、よく分からないし調べようもないんだけど」
――月埔村で民宿を経営する傅維建さん

 「田舎の村というのは人間の情がたいそう濃い。もしも先人の決まりを破ればずいぶん居心地が悪いし、この先になにか不吉なことが起きるかもしれんと心配にもなる。そりゃあ禁忌を破った(相手の村と通婚した)人間も実は過去にいたのだが、やはり数はとても少なかった」
――梧山村の王氏一族の長老の1人である王蹺鼻さん

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 もはや当の村人同士もなぜ対立しているのかよく分かっていないものの、とにかく両村は仲が悪かった。地元紙『東南早報』が月埔村の老人に取材したところでは、数百年前の水争いの際に両村を挙げての武力衝突(械闘)が発生して死亡者が出て、それから村民たちはクワを持って隣村との戦いに備える日々が続き、やがて不婚の掟ができたのだという。

 当初の抗争の原因となった水利の問題は中華人民共和国の建国後に解決されたが、その後も1960年代に墓地の場所をめぐって深刻な対立が発生。前出の梧山村の長老、王蹺鼻さんも当時は20代の若者であり、一族の年長者に言われて刃物や棍棒を持って村を防衛したという。彼は「村中の老若男女がみな出てきて村境に集まり、戦いに備えた」と地元紙の取材に対して述べている。

 しかし、近年は掟にとらわれない若者が増え、両村は経済活動などで交流するようになった。AFP通信の報道でも紹介された両村の「ロミオとジュリエット」は、中学生のころから相思相愛で、やがて男女の交際に発展してから7~8年が経過。しかし村の掟を理由に両家の親や親族から結婚を反対され続けたので、遠く離れた貴州省でこっそり事実婚をおこない、2人の子どもを授かったこともあってなし崩し的に結婚を認めてもらったようである。

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最終更新:6/19(月) 6:15
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